転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ26)

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第024話・『総帥』の狙いページ26

「貴方との逢瀬も中々刺激的だけど…いいの？他の選手が見ているよ…それに、あの人も」

　私がチラッとあの人に視線を移すと、佐久間の表情が硬くなった。帝国イレブンに取って『総帥』は絶対的な存在。鬼道ですらあの人には口答えがまともに出来ない。
　正直、帝国サイドのゴールにシュートを撃ったのは…ある意味あの人に対し、私がここまで強くなったと証明したいがためでもある。

　人間は妬みも、嫉みも、憎しみも誰も抱くことに対して抵抗がある。――無論、私もそうだ。
　それでも私は帝国イレブンに対して嫉妬や憎悪を覚えるほどに、羨み焦がれている。
　確かに、あの人…影山零治のやっていること、やることは正当ではないし…誰にも許されることもない。けれど、それでもあの人は、誰よりもサッカーを愛し憎んだ…哀れな人なのだ。

「ふっ…ごめんなさい、貴方にそんな顔はして欲しくないから…もう戻る」

　硬い表情をする佐久間なんてきっとこれから一切見ることなんてないだろう。貴重なわけだし、私の心の中に取っておくよ。

　サッカーボールを脇に抱えて秋のいるベンチへ戻る。(え、冬海？眼中にないけど)

「佐久間！」
「源田…」
「あの女子…侮れないな…」
「ああ。単純なパワーなら…そこらのストライカーより遥かに上だ」

　文字通りゴールに突き刺さるような威力のシュートを見せられキーパーとしての血が騒ぐのか、うずうずと少々落ち着きのない源田。
　全国の猛者たちを見て来た佐久間、源田の目に狂いはない。彼女の実力はまさに全国レベルもの。だがそんな彼女も雷門中という無名の学校のサッカー部に入っていれば、埋もれてしまうだろう。
　
未だに『総帥』の意図が読めない佐久間たち。鬼道もまた、狙いは豪炎寺だと思っていたが全くノーマークの女子選手「九重 A」という人物が狙いなのか、分からなくなった。