転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ23)

今日:32 hit、昨日:92 hit、合計:266,809 hit

第021話・帝国が来た！ページ23

装甲車の扉が物々しく開き、帝国の軍服のような制服に身を包んだ生徒が先に出てきて整列するとレッドカーペットが敷かれた。
　雷門イレブンはそれに圧倒され、口を開けっ放しにしている人が何人かいる。
　そして赤いマントを風になびかせ、装甲車から出てきたのは40年間無敗を誇る帝国イレブンだ。その堂々たる入場はまさに王者の風格と言っても過言ではないものだ。

「鬼道さん、なんでこんなチームと試合を？ウチのスキルが上がるとは思いませんけど」
「面白いものが見られるからだ」
「面白もの？」
「まあ楽しみにしていることだな」

　装甲車から椅子ごと出て来たあの人。装甲車とはかなり離れており、相手はサングラスまでかけているにも関わらず目が合った気がした。
　――もし、一週間前の交通事故があの人が企んだことなら…私はあの人にとっても……必要のない小娘になり果て果てたのかもしれない。

「どうしたA？怖い顔して」
「…なんでもない」
「？」

　私がじっと帝国を見ていたのを不思議に思ったのか半田が聞いて来る。見ていた、というよりは睨んでいた近いのだろうけれど。

　円堂はキャプテンとして鬼道に挨拶しに行く。だが、鬼道は円堂は眼中になく「初めてのグラウンドのためウォーミングアップをしたい」と言う。
　そして始まる帝国のウォーミングアップを自称したデモンストレーション。スピード、パワー、テクニック、すべてに置いて彼らは今の雷門を上回っている。それを目の当たりにして、一年生は震えあがり、染岡も舌を巻いている。
　すると鬼道が指パッチをすると、ボールが高く上げられ彼は円堂に向かって強烈なシュートを繰り出した。

「ッ？！」

　驚きながらもボールを受け止める円堂。だが、円堂は取ったボールを地面に転がし自身の手のひらを抑え震えている。

「キャプテン！」
「円堂！」

　一年生と染岡が心配そうに名前を呼ぶ。
　当の円堂は、微かに焦げ付いたグローブを見て愕然とする。その様子を見て鬼道は笑うが…私はそれを見てさらに笑みを深くする。

　この時の鬼道は知らない。相手が強ければ、強いほど…あのサッカーバカは燃えるのだと。

「面白くなってきたぜ！」