転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ24)

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第022話・枯れ木も山の賑わいページ24

「燃えて来たー！みんな一週間の成果をこいつらに見せてやろうぜ！！」

　鬼道や帝国イレブンに対し指を指し、こいつらと呼ぶのはおそらく円堂くらいだろう。彼の突拍子もない発言に宍戸と栗松は素っ頓狂な声を上げる。

「あの！ちょっとキャプテン…！」
「なんだ？」
「俺…トイレ行って来るッス！」
「あ、おい！壁山！」

　逃げるようにトイレに行く壁山を呼び止めたが彼は一心不乱に駆けていく。

「どうするだ、アイツを入れても十人しかいないようだが…後の一人いるのかな？」

　鬼道の視線は、鬼道の背後にある校庭にある木に向いた。そこには多少隠れるように豪炎寺がもたれかかっていた。すると「円堂くーん！」と円堂を呼ぶ少女の声が。

「あれ…あいつ…」
「彼！サッカー部に入ってくれるって！！」

　秋が円堂に向かって大きく手を振りながら連れて来たのは眼鏡をかけたヒョロリとした少年を連れて来た。

「彼…確か運動は…」
「あ、ああ……」

　マックスや染岡の顔が引きつり、壁山以外残され一年生と半田が暗い表情をしてその場に座り込んだ。――どうやら彼が運動不得手なのは一年生に伝わるほど有名のようだ。

「目金くんっていうのよ！」

　喜ぶ秋が彼の背を強く押し、目金は転びそうになりながら円堂に自己紹介をする。
　目金は周りを見渡し自身が最後の一人であることを、再確認する。

「どうやら本当に僕が最後の一人になったようだね。入部してあげるにあたって条件があるんだけど」
「条件？」
「僕さぁ…10番のユニフォームしか着たくないんだよねえ」

　それを聞いた栗松たちが「うぇえ～」と抗議らしくない抗議の声を上げる。

「どうするでヤンスか」
「枯れ木も山の賑わいって言うしね…」
「どういう意味かな？」
「よーし、分かった！それでいいよ！」

「「えぇええ？！」」

「キャプテン！マジでヤンスかぁ？！」
「マジだ！！」

　円堂はどうやら本気らしい。栗松たちは「だーー！」と昭和のアニメでもお馴染みのズコーッと頭からスッ転んだ。目金は「損はさせないよ、絶対にね」と眼鏡を光らせるのだが。
　まあ彼は自分は他の選手より劣っているのも理解して、いい意味で適当にやっているからこそエイリア学園戦で最後まで戦えたのだろうね。というか双子がいるなら、最初からそっちを助っ人にしておけばよかったんじゃ…