転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ32)

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第030話・最強の助っ人ページ32

私から離れたボールは帝国のボールとなり、私が立ち上がろうとすると足は悲鳴を上げる。

「まあそこで見ておくといいさ。…お前のお仲間を助けてくれる、ヒーローをな」
「なんだとっ…！」

　鬼道めぇ…悪役が様になっているじゃあないか…！めちゃ腹立つ！
　私はこのとき、気付かなかったが…本来はここは風丸が円堂を庇うシーン。だが、私が入ったことによってなくなった。
　そして帝国は寺門の百烈ショットで19点目を取った。

「円堂…！」

　帝国の前に円堂すらも倒れてしまう。雷門はすでに目金以外立ち上がれない。彼は圧倒的帝国の力も前に震えあがり涙を溜めていた。

「いやだ！もうこんなのいやだぁ！！」

　目金は10の背番号を豪炎寺の前に脱ぎ捨て敵前逃亡を図った。

「無様だなぁ」
「無理だ」
「お前たちは俺たちから1点を取ることすらな」
「フフハッ」

「「ハッハッハッハッハッ」」

　帝国の笑いの合唱。嫌に耳に残り苛立ちすら感じる。
　練習試合を観戦しに来た来門の生徒たちも目を逸らし、マイナスなことを言い始める。だがそんな中でも諦めない奴がいた。

「まだだッ！」

　この声に俯きかけていた豪炎寺が、笑っていた鬼道が…一人の男を見る。
　その男は痛み身体を震わせながらも立ち上がる。

「まだ…終わってねぇ……まだ、終わってねえぞ！！」
「まだやるっていうのかぁ！！」

　寺門ら帝国選手たちのシュートの嵐。円堂はそれでも立ち上がり、ボールを弾く。――だが

「がはっ…！」

　円堂は再びボールと共にゴールネットを揺らした。――帝国に20点目が入る。
　理事長室では、雷門夏未がオペラグラスを下ろし理事長室から立ち去ろうとした。

「誰だアイツ！」
「あんな奴ウチのチームにいたか？！」

　外から声が聞こえ、雷門夏未は振り返る。
　雷門のユニフォーム背番号10番を着て現れたのは、昨年フットボールフロンティアで一年生ながらもその強烈なシュートで一躍ヒーローになった――豪炎寺修也だ。

「ごう、えんじ…」
「大丈夫か？」
「うん、大丈夫…けど…円堂が…」
「ああ。無理するな」

　彼はしゃがみ込み私に手を差し伸べて立たせてくれた。おそらく彼の大丈夫か、は「お前の足大丈夫か」なんだろう。不器用な優しさを出す彼の微笑みに一瞬でもドキッとしてしまった。――ああんもう！私精神的には、三十路なのにぃ！余裕なさすぎでしょ！
　と嘆く私。