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＜キバナside>
……無い。そんな事は、ある筈が無い。
Aがしているのは、語ったのは"復讐"だ。"仇"なんかじゃない。
シロツメの事をアイツから直接聞いた訳じゃない。だが、普段の口振りからもそんな事実は垣間見えなかった。
「…………キバナ？大丈夫か？」
大丈夫、な筈が無い。…もし、それが本当ならAは恐らく─────
.
「……そういえば、シロツメには年の離れた妹がいたそうだ」
「………。」
徐にそう呟いた。それは間違いなくAの事だ。……いや、たぶん。恐らく。
衝撃的過ぎて、何が真実で何が嘘なのか判らなくなってくる。
ダンデは続ける。
「だがあの子に聞いても詳しくは分からないだろう。そもそも─────シロツメの死を知らないかもしれない。」
「────。」
…………あぁ、そうか。
なんとなく、だが。錠が解けてきた。
A本人とは違うような"復讐者"も、男装とフードの下に隠れた小さくて弱い奴も。
全部────────
.
「───悪ぃダンデ、用事を思い出した」
「…？キバナ……？」
最後に名前を呼ぶ声が聞こえたが、構わず電話切る。そして、また電話のアプリを開いて……
「………！」
着信履歴の一番上には、『A』の文字があった。
……抜かった…その時に出れれば良かったんだが。
…まだ数十分しか経ってない。かけ直せば繋がるだろう。
直ぐにタップして、耳に当てる。
『ﾌﾟﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙ……』
単調なリズムが、今はどうにも焦れったい。耐えながら待つ。……しかし、待てども待てどもAの声は聞こえない。
「……ﾁｯ…!!」
耳元から戻し、画面に視線を移した。電話のアプリから………
開いた途端に音が漏れる。ごぉぅという風の音ばかりで……Aの声は聞こえない。あとは、野生のポケモンと思われる鳴き声のみ。
「…………!!」
……気がつくと、オレ様はスタジアムの扉を蹴り飛ばし、外に向かっていた。
歩きながら、スマホロトムのマップを覗く。GPSが指し示すのは────────ルミナスメイズの森
.
.
即座に、外へ出た男はドラゴンの背中に乗る。…………その姿はまさしく、ドラゴン使いといわれるものだった。
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作者名：のりゆ x他1人 | 作成日時：2020年5月1日 23時
