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<Aside>
「バイウールー…!?」
横から突き倒したかのように、バイウールーはばたりと体を突っ伏していた。
傍に寄り、様子を確かめる。木にぶつかって出来た傷以外の、例えば遠距離攻撃などによる痕はない。
耳を近づけてみる。撫子色の小さな鼻からは微かな息が……寝息が洩れていた。
「……寝ちゃった…………?」
「ずむっ!!!!」
安堵しようとした私を、エレズンが咎めるように鳴いた。鳴き声は、空を覆う大樹の間を通り抜ける。
………………気配を感じる。視線、物音、匂い……
けれど、辺りを見渡しても認識出来ない。なんせ薄暗く、キノコの妖しい光だけが照らす空間だ。何かが動いていても、余程大きい音を出したり気配があったりしなければ、なかなか気づかないだろう。
本当はポケモン皆、総動員させたいけど……ジム戦の傷が残ってるあの子達に無理させられない。
「……エレズン……いける…?」
「…………。」コクリ
私の傍で、周りを警戒するエレズンは無言で頷いてくれた。
─────. . .
風が木々を撫で回す。揺れる枝の合間から、時々陽の光が射し込んだ。
ネオンのようなピンクを着たキノコのかさが太陽に当てられる。眩しそうに、あるいは嬉しそうに。かさは踊り出す。
釣られて隣のキノコも踊り出す。また隣の、隣、隣。いつの間にか大団円が私たちを取り囲んでいた。
咄嗟に鞄のスマホロトムを手に取る。この森に生息するポケモンに"キノコポケモン"はいるのか、調べる為に─────と思ったのだが。
『バッテリーの残量が10%を切ったロトォ〜』
「ん…な………っ!!」
またか、こんな時に限って…!流石に頻繁過ぎる、今度キバナさんに相談してみようか…。
………って、それどころじゃない…!
…………落ち着け……。恐らく、ポケモン……さっきマップに書いてあったフェアリータイプのポケモンかな…。
どくタイプのエレズンは効果有利だけど、流石に多すぎる……!!
……いや、そもそも…敵対しているの…?バイウールーを眠らせたと決めつけていいの…?例えば縄張りに入っちゃったとか……、うるさくして怒ったとか……
「────ずむ!!!!!!」
「……!!エレズ」
─────プツン
───・───・──・・・
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作者名:のりゆ x他1人 | 作成日時:2020年5月1日 23時