210:二体目 ページ26
「─────。」
されど何も言わず、デスマスをボールに戻すと。彼は直ぐに次のボールを取り出した。
まるで、デスマスがやられた事は想定内……計算していた、とでも言っているような。
ここで『かなしばり』によって『こなゆき』が使えなくなってしまったユキハミを交代させようと思っていた。けれど…そうするとますます彼の思うようにさせてしまうのではないか。
「……ユキハミ、もう少し頑張れる？」
未だ相手を見るユキハミの背中に言うと、振り返って頷いてくれた。彼女の覚悟と期待に背く事は出来ない。よく考えて動かないと…。
息を飲む私たちの前に、次に現れたのは───
「────!!!!」
…有名なポケモン。黄色くてまんまるの身体、苺みたいな頬、ギザギザの尻尾…………そう、ピカチュウ………………ではなく、ピカチュウに似たポケモン。確か……ミミッキュだったっけ。
今度もポケモンのスマホロトムの説明を聞いてみた。
『ミミッキュ ばけのかわポケモン ゴースト・フェアリータイプ
…因みにあのボロ布の中を見てしまった者h「さっきから怖がらせようとするのいいから…！」
「因みに」の後に声を低くするのが余計に態とらしい……と、そんな事は置いといて。
タイプの相性は普通……こおりもむしも程々。けれど…少し分が悪い。さっきのデスマスも一撃で落とせなかったとなると……ミミッキュも何発か打たないと倒せないと思う。
『こなゆき』が使えないとなると、『むしのていこう』だけ…。
…ああそれに。ミミッキュは特性で、最初の攻撃を防ぐ事が出来るんだっけ。
………なんでこんなに詳しいかと言うと、マサルさん…現チャンピオンのエースポケモンだから。勉強のために教えて貰った事があって。
相手の攻撃を流し、その間に技で攻撃力を上げておいて、瞬殺する……と。
…
「………っ!!」
あれこれ考えて、危惧して弱気になったらだめだ…!!……とにかく動かないと…！
「『むしのていこう』!!」
「────!!」
刹那、翡翠の風が吹き荒れる。だがミミッキュの体は通り抜ける。
代わりに首の力が抜けて、かくんと折れて────布の下から二つの光がこちらを捕らえていた。
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作者名：のりゆ x他1人 | 作成日時：2020年5月1日 23時
