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───ウィン、と扉が開かれた音がした。
本当に開かれたのかと聞かれると、100%そうだと答えられないのは…見えないから。
そこには少しの光も無く。目を開いているのか閉じているのか分からないくらいに真っ暗。
……決して未踏のダンジョンに来た訳じゃないと思うのだけれど。ジムチャレンジを……。
…そういえば、いつものあの人は………
「…こんにちは、ジムチャレンジャー……!!」
…
「……。」
「……コホン。ラテラルスタジアム ジムミッションの説明をさせていただきます。」
何事も無かったかのように続けたけれど、突然顔をライトで照らしながらダンペイさんに話しかけられたのだった。驚かせようとしたのかもしれない。
私があんまりに真顔だったからか……。ダンペイさんは少し、気まずそうに話し始めた。
「ルールは簡単。この真っ暗闇の中、ゴールを目指して頂きます。」
本当に簡素なルールに首を傾げる。前に調べた時はカップのような乗り物に乗ってゴールを目指す……だったはず。
首を傾げていると、ダンペイさんが説明を加えてくれた。
「今年からの新しいジムミッションとなります。」
「な、るほど……?」
「…はい。制限時間は10分です。ポケモンの明かりならOKですが、スマホロトムなどのライトは禁止です。それでは───」
パッとダンペイさんのライトが消える。再び闇に一人残された後。
「────スタート!!!!」
と、開始のホイッスルとが響いた。
…
……とりあえず、『ポケモンの明かりならいい』って言ってたし…。
「…出てきて、ヒトモシ」
手探りでボールを掴む。開かれたボールの眩しい光が消えると、紫色のぼんやりとした炎が辺りを照らした。
正直、そんなに遠くまでは見えないけれど。それでも充分に心強い。
「ヒトモシ、行こう」
「…モシィ」
ヒトモシを抱えて、薄ら照らされる一本の道を歩き出した。
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作者名:のりゆ x他1人 | 作成日時:2020年5月1日 23時