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<Aside>
……風が乾いた土の匂いを運ぶ。荒々しい岩肌に手をついて息を吸うと、喉が
「────フィ?」
柔らかい鈴の音が足元から見上げる。ハッと我に返って、その頭を撫でてやった。
私の手に頭から鼻へと擦りながら……リーフィアはじゃれついてきた。
…………さっきから、ずっとこんな調子で。
バトルに集中出来なくて。みんなに心配されて。
……仕方がないから、野生ポケモンもトレーナーも避けながら進んできた。ワイルドエリアでちゃんとレベルアップも出来たから……なんて、言い訳にしかならないけど。
「……ほんとにごめんね… 」
「フュァ〜♪」
「…っふふ、進化してからさらに逞しくなったね」
力強く、けれど優しい瞳で見つめられ、少し心が軽くなるような気がした。
.
一頻り撫でて貰って満足したのか。リーフィアはボールに戻っていった。
すると、丁度入れ替わりのように……鞄の中を篭った音が振動した。
根源を辿るように鞄から取り出す。分かってはいたけれど……それはスマホロトムの音だった。画面は…………やっぱり、バッテリー減を伝えていた。
………………早い…早すぎる……。今朝充電したばかりなのに。新しい機種はそうなのだろうか?
……そういえば。
充電しておけよ、と。最後に言っていた。…充電が減りやすいことを知っているのだろうか。それともただ単に言っただけ…?
……なんだか凄く疑心暗鬼になっているみたい。信頼出来なくなった…という訳では、無い、筈なんだけれど。
…
考えるより産むが易し…だったっけ。調べてみようか。
……とは言っても、思えばちゃんと触るのは初めてで。電話以外に使った事がなかった。前の携帯は古い機種だったから、操作には慣れていなかった。どのアプリがどんな機能なのか、さっぱり解らない。
……いや、これを機に詳しくなれるかもしれないし……やってみようかな。
意気込み、指した右の人差し指は─────
「────え」
決してたとえなんかでは無く、左手に持っていたはずのスマホロトムは……消えていた。
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作者名:のりゆ x他1人 | 作成日時:2020年5月1日 23時