117: ページ25
「……失礼、します…」
とりあえず挨拶をしてみる。その間も脳内は『どうしよう心臓が破裂するああどうしようどうしよう』のとおりパニックだった。
………が、返事はない。おかしいと思いつつ進んでみると…。
目に入ってきたのは真っ白な空間。私の部屋より、いや家のリビングより広いんじゃ…？
上質そうなソファ。ガラスのテーブル。薄型テレビ。目に入るもの全てが初めて見るものだった。
生まれて初めて入ったスイートルームは、そんな…声が出なくなるくらいに素敵な空間だった。
そんな中で。テーブルに置いたパソコンに突っ伏すキバナさんがいた。ソファに座り込み、頬杖をつきながら……眠ってしまっているようだった。
緊張の糸が切れ、安堵の溜め息を漏らす。ついでに『ぐぅ』とお腹が鳴った。もしキバナさんが起きていたのなら恥ずかしすぎて死んでいた所だった。
見ると窓際の、グラスやらボトルやらが置かれたカウンターテーブルに銀のクローシュが見える。これも始めて見た。二人分あるし、あれが夕食だろうか？
…果たして一人で食べてもいいものなのか。でも起こすのも悪いし……かといって先に食べたら失礼…？
ローテーブルとソファの間、キバナさんの横にしゃがむ。
…ふと初めて会った時のことを思い出す。まだ一週間ぐらいしか経っていないのに、随分前のような。
初めて会った時も、いきなりフードを外してきたり。その後もからかってばっかりと思えば、ガラル鉱山では心配してくれたり………本当に、変な人…。
………どうして…キバナさんは私の事気にかけてくれるんだろう……？
……………………聞ける訳ない。
だって……だって、『推薦者だから』なんて言われたら…………
…
……………言われたら、何？
……言われたら…………私は…………？
…
「…………分からない事ばっかりだなぁ……」
ため息混じりに呟いてみると、ふと目の前の寝顔を見つめてみる。………一つ一つのパーツが綺麗で、整った顔をしている……。
……ちょっとした悪戯心か…いつも大人な彼の、頬っぺをつついてみようと指を伸ばした途端───。
「──────A」
.
────私の腕が掴まれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のりゆ(プロフ) - 陽香さん» サザンドラとボーマンダとバンギラス(サナギラス)とで迷ったんですけれど……サナギラスでした!!(笑)やっぱり復讐相手のあの人の"あのポケモン"に相性抜群の子にしたくて……((ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ (2020年4月6日 23時) (
レス) id: f94e1d31e3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - さ、サナギラス……！？なるほど！私はてっきりサザンドラとばかり思ってました(笑) (2020年4月6日 1時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のりゆ | 作成日時：2020年4月2日 23時
