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家の中だから杖はなくて、椅子からずるりと滑り落ちるように床にお尻をつけると、手で這うように進んで俺もテーブルに着く。

あっ、でも俺、地べたに座っていられない。

どうしよ…

テーブルで食べれないや。

きっと、俺が困った顔をしていたのだろう。

「どうしたの?」

「いや、あの…」

「ん?言っていいよ。」

そう言ってくれてるんだもん。

言おう。

「あのね…俺、椅子がないと足痛くなっちゃって座れないんだ。」

「あっ、そうだったの!言ってよ〜。」

そう言って「どうしよっかなぁ、キッチンでいいかぁ。」と、狭いキッチンに椅子を二つ並べた。

「よし、こっちで食べよう。俺の家に、ないからさ。ちょうどいい机。」

テーブルの上のご飯もダイニングに戻してくれた。

俺はまた手で這うと椅子によじ登ろうとした。

「手伝おうか?」

なんだか、その姿が危なっかしい感じだったらしく、そう言われて頷いたら、脇に手を差し込んで引き上げてくれるとそのまま椅子に座らせてくれた。

「ありがとう。」

なんか、人にこうやってやってもらうことはちょっと照れるもので、俯きながら赤くなった頰を隠した。





「いただきまーす!」

出来上がったご飯はとっても美味しくて。

目玉焼きも黄身が白身に邪魔されて包まれることなく、しっかりと鮮やかなオレンジ色の身が顔を出している。

「まーくん、お料理上手なんだね。」

「ふふ、まぁね。好きなことはうまくなるよ。」

自慢げに言うまーくんが面白くてクスリと笑った。


「まーくんはどこの大学なの?」

「あっほんとー?俺の大学の隣だ!」

「俺ね、足悪いから、大学生になって一人暮らし始めたんだけど、なかなか不便なんだ…」

自分の障害を気にして、普段あまり喋らない俺が饒舌に話す。

まーくんはそっか、そっか、って合図地を打ってくれるから。

まーくの目はとっても優しい。

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あみ(プロフ) - スローでも完結させて下さい (2016年8月29日 1時) (レス) id: 406e8df93d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noko | 作成日時:2015年8月15日 0時

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