出会い【Meet with you…ARS】 (ページ16)

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慣れない車椅子をぎこちなくこぎながら診察室に入った。

「え、そんな重症？」

入って一声、先生はそう言った。

先生は、俺の二代目の担当医。

付き合いも長くて、あまり医者と患者っていう関係性ではない。

周りの看護師さんもいつも笑って見てる。

「落ちちゃったんだもん。怖い人がさ、怒ってきて、びっくりして後ずさったらドーン！って。」

「ドーン！って、じゃないよ。もう、よくそれだけで済んだね。」

まーくんのこと言ったほうがいいのかな…

言おう…、先生俺に友達いないって話結構気にしてたし。

「んー、だって助けてくれた人いたからさ。これで済んだ。」

「なんだそれ、運良すぎるし、いい人すぎるな。その人大丈夫だったの？」

「うん、たくましく受け止めてくれたー。ていうか、友達だったし。」

「なんだかなぁ…、友達ね…友達。友達！？」

「ひどい…そんなに驚かなくたっていいじゃん。」

「本当かぁ…あぁ、よかったなぁ、いやー、友達かぁ。和に友達。俺は嬉しいよ。よかったなぁ。」

俺の言葉はほぼほぼ聞いてなくて、俺はため息をつきながら笑った。

「そう、まーくんって言うの。」

先生は本当に嬉しそうにしてくれて。

俺はそれが嬉しかった。

「よしよし、それじゃぁ、ひどい具合を見ましょうか。」

「ほら。」と言われて、抱えられると車椅子から診察台に乗せられた。

ちょっと痛いかも～と、言いながら診ていく。

「んー、折れてないと思うよ。捻挫かな…レントゲン一応撮ってきてね。」

「はーい。」

なんとなくホッとして安心した顔をしたみたい。

「あっ、右足のマッサージだけでもして行くんだよ？」

「げっ。」

「げ、じゃないの。」

「もー、分かったからぁ～」

ふざけた口を利く俺に笑ってくれて、そのままレントゲン室に通された。