憧れの人【瀬名泉】 (ページ10)

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教室に戻る頃には残り時間が30分を切っていた。
ドアを開ける時にガラガラっと音が鳴り、ほぼ全員が注目していた。
そりゃあ泉ちゃん引っ張って出てっちゃったし仕方ないよねぇ…。

「瀬名！無事だったか！」
「はぁ？守沢に心配されるようなことなんてないし」
「何かあったら困るだろう？」

守沢と呼ばれた男が私の方を見ながら言う。
結構警戒されてるねぇ、まぁ警戒されようがなんだろうが関係ないから別にいいけど。

というかこんなに警戒されててこの先大丈夫なのかな。
なんて思いつつ、自分の先に座ると泉ちゃんとは反対側の席にいた人に話しかけられた。

「守沢がすまんな、俺は生徒会副会長の蓮巳敬人だ。このクラスは騒々しいが本気を出せば大抵はやれるクラスだから大丈夫だぞ」

どうやらこのクラスにも真面目な人が居たみたい。
まだそれだけでも救いがあるようなものだしある意味よかった…。

「そう」

あまり興味のない人とは関わりたくなくて返事をサラッと返す。だってこんな人達に時間使ってるだけ無駄じゃない。
あんまり関わりたくないのに、それでも尚話しかけてくる人が来る。私と会話したってなにも面白みもないのに。

「ねぇ、Aちゃんはどこのユニット専属になるの？」
「どこでもいいでしょ、少なくともあなたには関係ないだろうし」
「まぁAさんなら俺の所でもいいですよぉ。なるくんもいるし知り合いは多いに越したことはないでしょ？」

ユニット…。
泉ちゃんや嵐ちゃんが所属してるのはKnightsだったっけ？
確かに知り合いがいた方が何かと便利だしそうしようかなぁ。

「じゃあ泉ちゃんの所にするわねぇ。あと、気になってたけれど泉ちゃん。
この学院内では敬語崩しても大丈夫よ？流石に他のクラスメイト達も違和感を感じてしまうわぁ」

私がそういうと、無言で頷いた。
泉ちゃんが話すたびに他の人たちのなんで敬語なんだ？って疑問の顔が目立つからねぇ。

時には妥協も必要、だよねぇ？