Notes【短編集】

突然の電話：センラ ページ41

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　電話に付き合ってよ、と突然来たラインと着信。何やねんと思いながら出ればお菓子を作るからその間話すの付き合ってよ、とのことらしい。

　電話をかけてきたAは大学時代の友達で今も交友関係が続いてる少ない人間。

　「こんな夜からお菓子作るん？」

　『そ。明日彼氏とデートだからお菓子作るの。』

　「…へぇ。」

　彼氏とのデートに持っていくお菓子を作るのに電話する相手。ようするに電話しやすい相手…。何とも言えん気持ちが募る。

　電話越しから何グラム…とか何やらお菓子作りをしてるんが伝わる音が聞こえてくる。無心で返事できるようにパソコンを開いて軽く仕事を始める。


　『センラはさ、手作りのお菓子とかどう思う？』

　「えぇ？せやなぁ…女の子らしいてええんちゃう？」

　そうじゃなくて、と俺の返事に不満そうなA。なんや何が聞きたいねん…。はっきり言ってくれな分からん、というよりは答える気がそんなにない。

　『センラは手作りのお菓子好き？』

　「…まあ、相手によるけど嫌いじゃない。」

　知らん人とか大して仲良くない人からは受け取りたくないし食べたくないけど仲良ければ別にもらうかなって感じ。メンバー作ったやつとか普通に食べるし。

　『なんかさ、この前友達が友達の彼氏に手作り苦手って言われたらしくてさ…。』

　「…俺に聞かんと彼氏に聞けばええやん。」

　『そうなんだけどさぁ…嫌いって言われたら悲しいからさ。』

　Aが作ったお菓子やったら嫌いなんて言わへんのに俺やったら。…なんて考えてもしゃーないけど。

　この友達という相談されるポジションも悪くないけど、隣に立ってみたかったなんて今更過ぎる俺の願い。




　好きと苦手。

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