県立烏野高等学校、事務職員です。【２】

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「あ、佐藤さん、今日は線審ありがとうな」

　「いえ、とんでもないです」

　「他にも審判できるのか？」

　「はい、一応一通りはできますよ」

　「そうか、今日の線審も中々うまかったから、また今度頼むかもしんねえ」

　「マジですか、私結構苦手なんですけど」

　「そんなことねえよ、流石青城の敏腕マネージャだっただけあるな」

　「ちょ、止めてください……」

　「照れてんのか」

　「照れてないです！」



　片付けの途中で烏養さんに遭遇した。

　前もこんな風に揶揄われたから、対処の仕方は覚え、こなしていく。


　体育館に入ると、今日一日敵同士だった彼らが仲良くなっていた。

　昨日の敵は今日の友的な感じなのかな。仲良くなることはいいことだ。

　微笑ましく思いながら烏野のボールを片付ける。

　袋に入れていると澤村くんも手伝ってくれた。

　あれ、１つ足らない……？

　持ってきたときは確かに全部あったはずだけど。



　「澤村くん、ボール１つ足らないみたい」

　「あれ、音駒に紛れたのかな。ちょっと見てきますね」


　そう言って、澤村くんが走りだしたあと、音駒の１番くんがボールを持ってきてくれた。

　お礼を言ってボールを受け取る。


　「あ、澤村くんにボールあったって言ってこなきゃ」

　「大丈夫、大丈夫。音駒に聞けばすぐ気付いて戻ってくるって」


　澤村くんに伝えに行こうとしたところを、肩を掴まれ止められる。

　澤村くんなら大丈夫か……。

　それよりもちょっとお話しましょ、と話しかけてくる。


　「先生、だいぶ若く見えるけど、おいくつ？」

　「まあ若いからね。私は18」

　「え、18？ 俺の１個上？ 大学出ないで教員ってなれるの？」

　「学年的には今の高３の１個上。私は教員じゃなくて、事務職員だから先生ではないんだよね。事務は高卒でもなれるよ」

　「へー、そうなんスか。俺、今高３スよ。名前教えてくださいよ」

　「佐藤Aです」

　「黒尾鉄郎デス」


　黒尾くんっていうのね。

　胡散臭いと思っても話してみれば割と普通に高校生だ。








　「ねえ、Aさん。連絡先、教えてよ」

　

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