偽装 ページ13
その場所に着いたのか、車が完全に停止する。
「降りろ。
逃げたりすんじゃねぇぞ。」
色気を放ちながら、鋭く私を睨む。
目の前の扉が開き、男が顔を出した。
「上手くいったね。」
優しい笑顔で男達に言う。
「Aちゃん、怖かったよね。
こっち、おいで?」
何故私の名前を知っているのか。
この人達が一体何者なのか、ますます恐怖で足が竦み、行く事が出来ないでいると、運転していた男が私の肩を掴み、一緒に家の中へと入っていった。
「適当にその辺座って。
あ、逃げたりしたら、ただじゃ済まないから。
逃げようなんて思わないでね?」
「KING!
それじゃ怖すぎるよー。
もっと優しく言わなきゃ。」
ね?と、微笑みかけた、私の名前を知っている男。
いや、此処に居る全員が、私の名前を知っているのかも知れない。
「とりあえず、自己紹介しようよ!
僕はQUEEN。
よろしくね。」
そう言って、握手を求めてくる。
だが、怖すぎて返事どころか、手を出す事すら出来なかった。
握手して貰えなかったからか、しゅんとなっている。
「俺はKINGだ。」
先程運転していた男が、ぶっきらぼうに言う。
「俺、JACK。
腕切った所、痛くない?
手当てするから、腕出して?」
簡単にしか処置していなかったみたいで、何処からか救急箱を取り出し、適切な処置をし直す。
「最後に、俺がACEだ。
お前を助ける事を提案したのも俺だ。
感謝しろ。」
そんな事を言われても、感謝なんか出来ない。
むしろ、騒がずに大人しくしている私の方が、感謝されてもおかしくないのでは?
そう思ってしまう。
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作者名:童子 | 作成日時:2019年10月25日 8時