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第3話 ページ4

ふと思い立って、どう文を作ろうかと液晶を遊ばせていた手を止める。

「声……聞きたいな」

迷惑、だろうか。

時刻は、日付こそ跨いではいないが、明らかに電話をするには非常識だ。

俺のせいで征が寝不足になったりでもしたら、もし征が勉強中だったら、それでもし一点でも落ちてしまったら、気分が悪くなって隈が出来てしまったら……。

そこまで考えてから、ようやく手元のスマホが必死に着信を知らせているのに気が付いた。

焦りすぎて、誰からの電話だなんて確認する前に緑をタップしてしまう。……らしくないな。

「こんばんは。A。遅くにかけてすまない。起こしてしまったか?」

「征……!?ううん、大丈夫、起きてたよ!」

落ち着いた、響きのある、優しくて、それでいて芯の通った、私の大好きな温かい彼。

「こんな時間にどうしたの?」

「…………」

「征?」

「声が、聞きたかったんだ……Aの。……はは、思っていたより恥ずかしいな」

画面の向こうで赤面しているであろう征を想像して思わず口角が上がる。何より、同じことを考えていたという事実に私の心は完全に舞い上がった。生きてて良かったレベル。

「私もね、征の声、聞きたいって思ってた。まさか、同じこと考えてたなんて」

「Aも?ふふ、嬉しいな」

そこからは他愛ない話をして、近々部活に顔を出すよと伝えてから、電話を切った。

何だか名残惜しくて、真っ暗な画面をついじっと見つめてしまう。

「おやすみ、征」

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作者名:きなぽん&あらまき | 作成日時:2017年4月18日 0時

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