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第十八波 ページ19

執務室から怒号が響く度に、通路を歩く党員達がびくりと肩を震わせ、早足でそこを通り過ぎた。怒号に続いて、秘書の片岡の宥める声が聞こえる。

最近民衆の間で飛び交い始めた「総理が連合軍と繋がっている」という噂をメディアが今朝の新聞で報道したのである。

「…確かに面会はしたが!何故それで私が連合軍と繋がっていると…」

今度は机か何かを拳で叩くような音も聞こえた。

__解散してからは、やはり政治界は毎日嵐のように忙しかった。党員の下士官が何やら大量の書類を読んでは別の紙に書き込んでまとめて居たり、今度はどこの党から誰が出馬するのか、と早口で話し合っていたり。その動く人の中には、毛利や武林などの見知った顔も見える。
上の階の部屋に持って行くように頼まれた五枚ほどの薄い書類を片手に持ち、大石はその部屋を横切った。
一瞬横目で、彼らの書類の山を見、そして自分の持って行くべきたった五枚の書類を見ると、まるで自分だけが楽しているように思えてきて、申し訳ない気分になった。

「うお…っと。あ、大石大尉殿!」

突然背後から声を掛けられたので振り返ると、抱えられた荷物の横からひょっこり顔を出した高田軍曹であった。

士官と下士官の階級差もあり、党員でも役割が違うため中々話す機会が無いが、政党に関わる前…ごく普通の歩兵科であった時に同じ中隊で、色々話したのを大石はしっかり覚えている。
向こうもそれを覚えているのだろう。人懐こそうな笑顔を浮かべて大石の隣に並び、階段を登った。

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嵩画鯉城@トラ!トラ!トラ!(プロフ) - 月読命さん» ありがとうございます(o^^o) そうなんですね〜、死後百年ですか…この小説の舞台は若干微妙な年代なので、その辺り気を付けて書いていこうと思います。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 3ce9c05f06 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - 更新がんばってください!ちなみに歴史上の人物の場合、死後およそ100年で名前をかってに使われない権利みたいなのが消えるみたいです。 (2017年10月2日 20時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
蘭秀@ニイタカヤマノボレ(プロフ) - あんこ(ろ)餅さん» コメントありがとうございます。歴史上の人物を使用する場合はオリフラを外す必要はない、と聞いたのですが…。ちなみにww2の内容については実在する団体は一切使用しておりません。 (2017年6月19日 7時) (レス) id: c435ca72cc (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(ろ)餅 - これはオリジナルですか?実在する団体などを使用してる場合はオリジナルフラグを外してくださいね (2017年6月19日 7時) (レス) id: db0d61df1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘭秀、鯉城 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年6月11日 19時

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