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お迎え ページ6

「お疲れ様でしたー!」




木曜日終わったー!
嬉しい嬉しい嬉しい!


スキップしながら会社を出れば、
「お前マジか」って顔で、私を引き気味に見る男が。




「千冬!?」
「お前この歳で、一人スキップはねぇわ」
「そ、そんな引かないでよ!」




白い目を向ける千冬。


それにしても、




「てか、どうしたの?」
「別に」
「……?あ!わかった!」
「なんだよ」




千冬のほっぺをつんつんして
「昨日のラーメン食べに行きたいんでしょー?」
って言ったら、頭をスパコーン!と叩かれた。なんで!




「イテッ!何すんのさ!」
「なんかイラッとした」
「うそ!理不尽すぎる!」
「行くぞ」




ポケットに手を突っ込み、かったるそうに歩き出す。


ご飯食べに行く約束してない日に
わざわざ来るなんて初めてだ。


仕事で嫌な事でもあったのかな…?




「千冬さん」
「なんすか、Aさん」
「なんかあったの?」
「何で」
「珍しいじゃん?約束してない日に来るの」
「約束してなかったら会いに来ちゃいけねぇの?」




立ち止まって私を見下ろす千冬。



えっ、待って待って千冬さん!
体中の血の巡りが早くなって、心臓ドキドキなんだけど…!



見つめ合ったまま固まっていると
私のおでこを、ピーンと弾いた。え?




「お前は芸能人かよ」
「……な、なんだ!そういう事ね!」
「ん?」
「やめてよ!心臓に悪いから!」
「あ〜…、」




いつもみたいに、にししって笑ったかと思えば


顎をクイッと持ち上げて、




「ドキドキした?」
「ななななっ!」




急な色気に、たぶん私の顔は茹蛸状態。


パシッと手を払い除け、千冬を睨んだ。




「千冬にドキドキなんてするかッ!」
「ふーん」
「ほ、ほんとしてないからね!」
「へいへい」
「ちょ、何!その余裕な大人感!」




何事もなかったかのように歩き出した千冬の後を追う。


さっきのオスの目を思い出し
あぁやって彼女を見つめるのかなって考えたら、虚しくなった。


所詮私は、揶揄われただけ。




「A」
「こ、こんどは何!」




ファイティングポーズポーズをとる私に
千冬が、ブハッ、と吹き出した。



今日の千冬は、変だ。



“じゃあ、誰にならドキドキすんの?”



この時、千冬が飲み込んだ言葉を
私は知らない。

タコパ→←胸騒ぎ



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みい - 面白かったです! (5月1日 14時) (レス) @page50 id: 957bb83be5 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして!千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ? - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜‪( ;ᯅ; )‬matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております!でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:matsuri | 作成日時:2022年5月23日 18時

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