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彼女は滴る真紅の液体を指で拭うと、最初に仕掛けて来た男の攻撃を避け続ける。隙あらば、ナイフを首元で薙ぎ、心臓に突く動作を繰り返す。目にも止まらぬ攻防戦はロベルティーネの方が不利に見えた。その間にも、第二波を繰り出した男が彼女に目掛けて飛んでくる。それを躱しながらゆっくりと後ろに下がっているので、何処に行き止まりに当たっても可笑しくはなかった。
 案の定、狭い路地では回避し続けるのは不可能で、ロベルティーネの背後には木造の壁が立ち塞がる。

「ロベル!」

 メルヴィンの叫びと共に男が包丁を振り下ろす──が、振り下ろされた包丁は、いつまで経っても彼女の頭上には降らなかった。何故なら、彼女の頭部があった壁には包丁が深々と刺さっていたからだ。
 では、ロベルティーネの身体は何処に消えたのか。否、消えたなどいない。()である。彼女は咄嗟に身を屈め、男の足元へと滑り込んでいた。最早、反射的に近い動きに、男は包丁を抜こうと慌てながら目を見開く。

「間抜け」

 ロベルティーネはニヤつきながら、男の股間を思いっきり蹴り上げた。男は声にならない悲鳴を上げながら、同時に木の壁に突き刺さった包丁から手を離す。そして、股間を抑えて、硬い石畳を悶絶しながら転がり回る。これには、メルヴィンも男に同情をせざるを得なかった。
 一方、もう一人の男がカウンターと言わんばかりにロベルティーネに包丁を振り下ろすが、彼女は転がりながら避け、再び体勢を整える。
(休む暇なんて与えないって感じだな……)
 少しだけ息を吐くと、ナイフを構えて駆け出す。男もフラリと脱力した体勢から、アクセル全開で突っ込んだ。二人の一撃がぶつかり合う──事は無かった。
(──!)
 突如、ロベルティーネの身体が傾き、そのまま地面へ転がる。すぐに足元を見ると、先程まで悶絶していた男が額に脂汗を垂らし、目元を細めて彼女の足首を掴んでいた。掴まれてない足で手を払い退けるも、突っ込んで来た男の跳躍を躱すには間に合わず、彼女の腹に飛び乗りながら、男はそのままの勢いで包丁を振り下ろす。彼女は腹に来た衝撃に思わず胃の中身を吐きそうになりながら何とか持ち堪えると、降って来た一撃をナイフと腕で受け止める。
 マウントを取られてしまったので、ロベルティーネの防衛一方となった。しかも、前方では転がってた男が起き上がり、初めに投擲された突き刺さる包丁を抜き取って近づいて来る。万事休すと思われた。が、しかし──

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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月18日 21時

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