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すぐに体勢を整えたロベルティーネは、目線だけ後ろに移す。先程まで居た場所から少し離れた場所の地面には、鋭い光を放つ包丁が突き刺さっていた。柄は木製なのだが、所々が茶色に変色しており、それが本来の使い方をされていない事が一目瞭然である。
 混乱するメルヴィンを他所に、彼女は続けて第二波の包丁を身体を晒す事で回避する。包丁は建物の壁に当たったのか、カシャンと音を立てて落ちた。

「な、何が起こって……」
「お前は逃げろ。敵は確実に私達を狙ってる」
「で、でも……」

 退路は霧によってボヤけてしまい、更には迫ってきている何者かが塞いでいる。ロベルティーネが軽く舌打ちをすると同時に、前方から黒い影が現れた。
 カツカツと石畳を叩く音と共に、影は徐々に人のシルエットを成して行く。ボルサリーノ帽を深めに被り、口元はマスクに覆われ、黒いコートを靡かせる男──目元の人相から二十代と思しき青年で、身長は約180cm程度。何処かで──否、つい先程聞いた特徴の男が、黒い手袋に覆われた手に握られている鋭い包丁を振りかぶりながら間合いを詰めてきた。それをギリギリで避けると、突然もう一撃がロベルティーネを襲う。
(二人目!? 否、三人目(・・・)だ!)
 後ろに目線を一瞬だけ移した後、包丁を振りかぶってきた男の後をくっ付いていたらしいもう一人の男の斬撃をナイフ一本で間一髪で払い退ける。
 そして、三人目の男──厳密に言えば、後ろでロベルティーネ達を追いかけて来た謎の気配の正体の為、正しくは一人目の男──が後方から駆け寄り、その場で跳躍した。まるで鳥の様に舞って、包丁をロベルティーネ目掛けて振り落とす。

「そんな見え見えの的があって堪るか!」

 そう吐き捨て、彼女は包丁を振り回す二人の攻撃を躱しながら、ナイフを上空へ──宙を舞う男の首元目掛けて投擲した。ナイフは見事に男の喉元へと突き刺さり、男はバランスを崩しながら地面へと激突し、うつ伏せに倒れて動かなくなった。喉元に刺さるナイフがより一層深く突き刺さり、貫通間近の状態で静止する。
 投擲の際に出来た一瞬の隙を突ついたのか、先程払い除けた男が包丁を横に薙ぎ払い、彼女の頰に赤い線を刻む。ミスリード。跳躍した男に視線を向けさせ、その間に同じく首元を狙って男が包丁を薙いだらしい。だが、ロベルティーネもそれに気が付かない程鈍感では無いので、気合いで避けたが僅かに間に合わず、頰を少しだけ切られた。

├ 03→←◆第III章「人形の刻印」 01



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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月18日 21時

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