オタクがプロデューサーになった件。

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あんず「生徒会長がAと話したいって言ってるから代わる！」

A「えっっ」






やっと向こうの話が終わったかと思えば、無慈悲にも私の動揺する声を無視して電話が代わられた。私が転入を断ったことは多分知られているだろうし、脅しにかけられたりするのかと嫌な想像をしてしまう。






英智「いきなりごめんね。僕は生徒会長の天祥院英智。君に頼みたいことがあるのだけれどいいかな？」

A「は、はあ…」

英智「単刀直入に言おう。夢ノ咲学院プロデュース科の生徒になってほしい。」

A「無理です。」






そこまで私の転入が必要なのか！！こう言っちゃあれだけど、他にも人はいるだろうに……。何度聞かれても、聞く人が変わっても答えは同じだ。無理！！！！！






英智「どうしてだい？アイドル科には君の推しだっていう朔間凛月くんも在籍しているのだけど…」

A「だからこそです。推しに近づくなんて言語道断です。私はただの１ファンでいたいんです。」






知らないところで私がアイドルオタクしてるっていう情報はおろか、朔間凛月くんを推しているという情報まで知られてて鳥肌が立つ。犯人は間違いなくあんずだろうけど。

ファンとアイドルの境界線を引くことは当たり前のマナーだし、自分の心のライフを考えて行動しないと自分の身を滅ぼすことに繋がる、という観点を踏まえて、何度お願いされても答えは同じ。






英智「まあ、君が嫌って言っても無駄なんだけどね。」

A「え？」

英智「実はねもう僕から君の両親に話をしてあるんだ。そうしたらすぐにOKが貰えたよ。ということで明日からにでも、転入の準備が始まるはずだからよろしくね。」

あんず「さすが天祥院財閥…！」






天祥院、財閥？
つまり話をしたというか、それはうちの親を買収したって解釈で合ってる？？買収されるうちの親も親だけど、それよりも、最初から私に選択権なんかなかったことに驚きだ。






あんず「ってことだからよろしくね！Aと同じ学校通えるの久々で嬉しい！じゃ！ばいばーい！」






開いた口が塞がらず、ポカンとしている間に一方的に電話が切られ、ツーツーと無機質な音が鳴るスマホを片手に立ち尽くす私。






A「……」






明日から転入の準備が始まるからよろしくね、だって。
今まで平凡に生きていたのが嘘みたいな展開になってしまった。

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