ねこねこ日本史短編集 (ページ3)

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彼と、目があう。

届きそうで、届かない、距離。

いつも、いつもそうだった。

身体は触れていても、決して揺るぐことの無い、彼の地位。権力。

届きそうで、届かない。

自分はそれに、何度振り回されてきたのだろう。

目の前の彼は、ゆっくりと口を開く…。

「すまなかったのぉ…光秀…。」

とても、穏やかに。

とても、悲しそうに、

彼は自分に、微笑みかけていた。

「………………………え……？」

掠れた自分の声が、震えた。

熱かった身体から、サーっと熱が引いていく、感覚。

頭が真っ白になった。

宿敵。

憎むべき相手。

許してはいけない、存在

……なのに、それなのに、何故彼は

「……なんで……なんでそんな顔して……」

未だ、そんなにも、

愛おしむような目で、自分を見るのか。

「………………!!!!」

ガラガラと音を立て、突然、自分目の前に炎に包まれた大きな瓦礫が流れるように落ちてくる。

「光秀様!!!!!!!!」

それと同時に、自分の名を呼ぶ家来の声が聞こえてくる。

目の前を振り返ると、

もう彼の姿は炎で見えなくなっていた。

「……っ!!!!!!」

「光秀様!!!ここはもう危険です!!!!お戻りください!!!!」

戸惑う自分を、その家来は懸命に引っ張って外へと連れ出していく。

「光秀様はもうお逃げ下さい！！敵の耳に入れば貴方様の命はありません!!!!さあ、早く!!!!」

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そうして、1人、本能寺を離れていく。

あとから数人、味方が着いてきた。