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10話 ページ10

『〜♪、ッ!わっ』




舞台かのように踊ってはいたが、そこは確かに塀の上




彼女はふらりと塔の外側へと傾き落ちそうになった




それを見た瞬間、考えるよりも早く彼女に駆け寄り手を掴んで思い切り引き寄せる教授





その反動で彼女は彼の胸板に顔面を強打した




『いてっ、…あっ、セブルス先生、こんばんは。』



セブ「貴様は…!何をしている!夜中に抜け出してこんな所に来ているだけではなく、そんな所に立って呑気に踊って落ちかけるなど…貴様は馬鹿か、馬鹿だな。余程我輩に付きっきりで面倒を見て欲しいようですなあ?」


焦った様な表情を滲ませながらもいつも以上に眉間に皺を寄せて顔を近づける




『あー…ごめんなさい…助けてくれてありがとう。でも、先生が付きっきりで側に居てくれるなら嬉しいです。1人は寂しいもの』



当の本人は慌てた様子もなくケロッとして、いつもの様にその顔には微笑みを浮かべていた



『先生も良ければ一緒に星を眺めましょ?今日は星も月もとても綺麗だから』


セブ「…良かろう。貴様を野放しにして面倒を起こされては困るからな」


『ふふ、ありがとう。皆もセブルス先生のこと怖がらずに一緒に居れば、優しい所も分かると思うんだけどなぁ…』


セブ「…いつまでも我輩に構ってないでお目当ての星を見たらどうだ」


『セブルス先生が居るなら星よりも先生の方が重要度高いので』




一見、口説き文句のようにも思えるその一言に、教授は一瞬たじろぐものの最早慣れたもので呆れた目を向けた



セブ「それでは部屋に戻って大人しく寝たらどうかね」


『今日は寝るつもりはないよ。これは毎年そうだから、ホグワーツだからって変わることは無い』


セブ「…今日は何かあるのかね」


『…先生は、子供みたいって笑うかもしれないけど…毎年この日は、酷い夢を見るの。夢というか記憶というか…お前は愛されていないんだと忘れない様に念を押されてるみたいで。その夢を見ると私は私で居られなくなる』



それから彼女は教授に数年前のこの日、何があったかを話した


いつもならこんな事を人に話はしないだろう






数年前、彼女は家を追い出された


それがまさに今日、この日だったのだ





『でも、最悪な日とも言いきれなくて…あの日初めて私はお母様の笑顔を見たから、だから、最高な日でもあったの』



そう言って微笑む彼女は、何故か、とても…





美しく見えた

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作者名: | 作成日時:2020年1月30日 18時

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