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11話 ページ11

NOside

『…私はもう、お母様の笑顔を上手く思い出せない。…この日に見る夢では、お母様さえも恐ろしい顔をして私を責め立てるの。そっちが本当なんじゃないかって思えてしまって、とても怖い。なんて、本当に子供ですよね、私』



彼女が話す間、教授は何を言うでもなく、ただ聞いていた


彼女が家を追い出された事は知っていたが、その詳細やその後毎年記憶に悩まされていたことは知らなかった



セブ「…お前はまだ確かに子供だろう。13歳になったばかりのガキだ。怖いなら怖いと言えばいい。しかし、夢を現実だと思い込むのはやめろ、くだらん。そして貴様は自分に向けられた感情に対して恐ろしく鈍感な馬鹿だな」


馬鹿にするかのように笑いながら放たれたその言葉に呆然とする



『えっと…え、私人の感情には敏感な方だと思いますよ…?だから、嫌われてはないとは分かってるし…特別に好かれてもないだろうけど…』


セブ「人の感情に敏感だとしても自分に向けられたものには鈍感だろう。貴様の友とやらが聞いたら呆れるであろうな」



そう、彼女は自身が愛されているとは微塵も考える事がない、自分に向けられた感情にはとことん鈍感な少女だった

それも幼い頃に人に不信感を抱いた為に、それが払拭されても決して人に期待することは無かった






セブ「まだここにいる気か?」



『え、ああ…一晩中居ようかなーって、思ってたけど…ちょっと肌寒いし先生は戻っても大丈夫ですよ?もう大人しくここで座ってるだけにするから』



セブ「…肌寒いならこれを着ろ。一応病み上がりという身だろう、そんな薄着でまた体調を崩して仕事を増やされては面倒だ」


そう言って教授は彼女に自身のローブを投げかけた



日中は暑いが、夜ともなればやはり肌寒い

教授は夏でも関係なく暑苦しそうなローブを羽織っていたが、中に着る服は薄手の様だ(しかし長袖)



対して彼女は薄いキャミソール型の白のワンピース

日中は良くても流石に夜は寒いであろう




『え、いや、先生が肌寒いかなって…だから戻っても大丈夫って意味で…先生いつもローブ着てるし寒がりなんでしょう?先生が寒い思いしたらダメだから…』



セブ「不本意ではあるが貴様のお守りは我輩の仕事の一つでもある。貴様が満足し部屋に帰るのを見届けねば職務怠慢になりうる。そして貴様が体調を崩した場合も同様」





ローブを返そうとする彼女に長ったらしく言葉を繋ぐ教授




半ば言い訳のようにも聞こえる

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作者名: | 作成日時:2020年1月30日 18時

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