54話 ページ4
バチンっと乾いた音が響いた
アンブリッジは倒れ込み唖然としている
ハーマイオニーは小さく悲鳴を上げた
彼女は…Aは、相変わらず冷たい目でアンブリッジを見下ろしながら笑っている
『今のは、ハリーを叩いた分。そしてこれは_』
再び勢いよく手が振り下ろされた
『ルークの分。…ついでにもう一回_まだムカつくけれど…ケンタウルスの皆も待たせちゃってるし我慢しますね。それじゃあ、魔法省の方々によろしくお伝えください。さようなら』
最後にもう一度、恐怖の表情で悲鳴を上げるアンブリッジの頬を叩いた
こちらを振り向いたときにはもう、あの冷たい表情は消えていた
『時間をくださって感謝します。長々とごめんなさい。そしてどうかお願い、その2人を離してほしいの。2人はまだ子供だし、決して貴女達を軽んじるような子達でもないわ』
Aが声をかけると弾かれたように殆どのケンタウルス達は動き出し、アンブリッジを引き摺り森の奥へと消えていった
残ったのは僕達を捕まえている二頭を含めた三頭だけだ
「我らは人間の指図は受けない!」「花の愛し子だろうと我らに命令する権利は持たない!」
僕らを捕まえる二頭は荒々しく叫んだ
しかし、後ろから静かな声が聞こえた
「我々は仔馬を襲わない。そして花の愛し子が我らに指図することはない…彼女はその地位を振り翳すことのない我らの隣人である」
『ロナン、ありがとう。でも私、振り翳せる地位なんて持っていないよ』
ロナ「哀れな星のもとに生まれた少女…力に蝕まれ行く運命…さあ、早くここを出るべきだ。そなたを知るここに長い者以外は黙って見過ごさないだろう」
僕とハーマイオニーはケンタウルスから渋々といった感じだが、漸く解放された
ハー「A、ありがとう…私、ケンタウルスがアンブリッジを追い払ってくれるかもって思って…」
『ケンタウルスを利用しようとするなんて…もうしないでね。彼らは彼らなりの考えや生き方があるのだから、それを踏みにじるべきじゃない。…でも、2人が無事で本当によかった』
久しぶりに彼女の本当の笑顔を見た気がした
でも今はそれどころじゃない
シリウスの命が危ないんだ
『ルーク、大丈夫?マダムに…いや、ハグリッドの方がいいかな…』
Aはルークを優しく抱いて森の出口の方へと歩いていく
それに続こうとしたハーマイオニーを引き止めた
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作者名:葱 | 作成日時:2020年6月2日 19時