68話 ページ18
ハリーside
『貴方を、家族と思ってもいい?』
抱き着かれ弱々しく震えた声を聞いて衝撃を受けた
一体何があったんだ?
彼女がこんな声を出すのを初めて聞いた
家族…僕は、生まれてすぐに両親を失ったけれど今はシリウスがいる
Aのおかげで家族を失わずにすんだ
でも、Aは?
彼女の家族は生きてこそいるけれど、家族と呼ぶのはあまりにも残酷だ
彼女はいつだって平然として、何でもないように、他人事かのように、自分の過去を語っていた
そのせいで特に気に止めていなかった…
彼女だって、きっと寂しかっただろう
ここが大広間で、色んな人が見ていることも忘れて僕は彼女を抱きしめ返した
ハリ「勿論さ。君は僕の一番の親友で、家族だ。…僕、君の話全然聞こうとしていなかった。改めて聞かせてくれないか?君のことを一番理解してたいんだ」
『ありがとう、ハリー。私も、ちゃんと話そうとしなくてごめんなさい。ハリー、大好きよ、私の唯一の家族』
彼女は顔を上げてゆるりと微笑んだ
疲れたような顔だけれど、いくらか安心したようだ
お互いに微笑みあって立っていると、後ろから声をかけられた
ハー「二人とも、仲が良いのはいいけれど、とっても目立ってるわよ」
ロン「二人の世界に入っちゃって…もう夕食始まるぜ」
ハッとして周りを見回すと、キャアキャアと声を上げる女子、ニヤニヤとこちらを見る友達、鋭い目で睨んでくる男子がいっぱいだった
慌てて体を離す
ハリ「あ…A、取り敢えずご飯食べよう。君もお腹すいてるだろ?」
『ああ、ええ、そうね。そういえばお腹ペコペコだ…ハリー、隣座ってもいい?』
ハリ「うん、勿論」
ハーマイオニーとロンの座る前に二人で揃って座り、久しぶりに4人揃って食事をした
話は明日の汽車の中ですることになった
きっと他の人に聞かれたくないこともあるだろうし…
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ついに家へ帰る日がやってきた
僕達は誰もいないコンパートメントを陣取り、監督生の仕事に行ったハーマイオニーとロンが帰ってくるまで久しぶりの2人での会話を楽しんだ
ハリ「A、誰かの付き添いがあればシリウスの見舞いに行けることになったんだけど、良かったら一緒に行かないか?」
『うん、行く。でも私また連絡できない可能性もあって…もし連絡なかったら私のことは気にしないで行ってね』
…死喰い人の集まりがあるのか
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作者名:葱 | 作成日時:2020年6月2日 19時