百八十七 ページ37
どうしてこうも鈍い奴に惚れちまったのか。
折角、ようやく、俺の女になったっていうのに、隊長、隊長、隊長って、それじゃあ部下のまんまじゃねェか。
「山崎と事件のことを調べたいなら、その隊長呼びをやめてくだせェ」
「えー、そんな急に言われましても……」
「言えないってんなら、お前を連れて屯所に帰りやすぜィ」
頑なに嫌がるAだが、ここで引き下がるつもりは毛頭ない。
しばらく問答が続き、やっとのことでAが折れた。彼女は困ったような顔をしてため息をつくと、少し口先を尖らせる。
「隊長って、変な所で意固地になりますよね」
「そりゃ、お前だろィ」
「私はもっと素直ですよ」
「俺からずっと逃げてたくせに、ですかィ?」
「それは言わないで下さい。自分なりに反省してるんですから」
覚悟を決めた、というか、俺とのやりとりに疲れたような表情でAは息を吐く。そして顔を上げると、少し微笑んで小さく言った。
「総悟さん」
正直、言わせておいてなんだが、破壊力が強すぎる。
年上の包容力と言うと怒られるだろうから、大人の余裕とでも言っておこうか。
とにかく、今まで会ったどの女よりも綺麗だ。
所作というか、立ち居振る舞いというか、そういったものが繊細で洗練されている。
緩く結い上げられて所々耳にかかる黒髪が一筋顔に落ちてくる。Aはおっと、と髪を結び直すが、その一つ一つの動きですら、目が離せない。
「A」
「はい?」
呼べば、慌てて紐で髪をくくり、こちらを振り返る。
「キスしてもいいですかィ」
「……え、嫌です。というか、急になんですか?さっきまで、待つのなんて慣れっこだ、みたいなこと言ってましたよね???」
「お前が魅力すぎるのがいけないんですぜ」
「下心丸見えですよ、まったく……。これで無理矢理キスしたら、舌噛んで死にますから」
どさくさに紛れてAの肩を捕まえようとしていた手が、思わず止まる。夢から覚めたかのように現実に引き戻され、俺の目にかかってたフィルターはどこへやら。目の前にいるのは若干呆れ気味のAだけだ。
「ここで脅迫はねェだろィ」
雰囲気最悪だ。
第一、今の流れで押し倒さないという選択肢はないものだと思っていた。
「
「なら、なるだけ早く任務を終わらせてくだせィ。お前が居ない屯所は静かすぎる」
Aはクスリと小さく笑うと、黙って頷いた。
「頑張りますね」
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伝説じゃないパンダ - お久しぶりです!コメントは全然大丈夫です!忙しいと思うので(^^;)テストの結果が良かったことを祈ってます!今回もとても面白かったです!続きも楽しみに待ってます!!!(*´∇`*) (2019年9月15日 13時) (レス) id: dcff47e5eb (このIDを非表示/違反報告)
ちびロボ(プロフ) - 伝説じゃないパンダさん» 先月のコメントに返信できず、申し訳ありません(T-T)毎月毎月ありがとうございます!1ヶ月更新を待ってくださる伝説じゃないパンダさんの懐の深さに感謝です(^^)テストが終わり次第書き溜めたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年7月18日 18時) (レス) id: 6ccebea4a4 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - あ!伝説のパンダです!伝説じゃなくなりましたが!w (2019年7月18日 3時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - 発狂するかと思いました!(笑)夢主ちゃん!頑張れ!← 毎月、面白いお話が読めて幸せです!更新については、焦らないでくださいね!勉強に支障が出てはいけませんし!レポートと、テスト。。。辛いですね。勉強頑張って下さい!私は一から読み直します!! (2019年7月18日 3時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 本当に今回も最高でした!夢主ちゃんよかったですね〜!本当に安心というか!夢主ちゃんの復帰の仕方も、あの人達らしいというか、、、、w本当最高です!大変かと思いますが、最後まで私も応援しますので、こちらこそよろしくお願いします! (2019年6月15日 12時) (レス) id: 7058246684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちびロボ | 作成日時:2019年4月2日 15時