百七十三 ページ23
「すみません、すぐに行くので先に行っててもらえますか?」
「分かったよ。たくっ、問題起こすんじゃねェぞ」
副長が近藤さんも連れて行き、部屋が二人きりの空間になった。正直、今朝から今に至って、隊長の機嫌を損ねるような事しかしていない為、気まずい。胃に穴が空きそうな……イテテっ。
覚悟を決めて、顔を上げるが、目が合った瞬間サーっと顔から血の気がなくなった。
怒ってらっしゃる……まあ、当たり前か。
「しばらく、距離を置いた方が私にも、隊長のためにもなると思うんです。そうすれば、きっと隊長も正気に戻れると……思っ、て。」
言い訳……ではないけれど、なんとかそれらしい理由を付けようとして、思わず口を閉じた。
隊長の目が、本気だった。本気で怒ってる。
「どこが気にくわないんですかィ」
「へっ?」
「俺のどこが、ダメなのかって聞いてんだ」
機嫌の良い時よりも遥かに低い、ドスの効いた声。
どこで間違えたのか。むしろ最初から間違えたのか。いつの間にか隊長のスイッチがはいってしまったようだ。
なら、こちらも真剣に答えなければ。
「……ダメな所なんて、むしろ一つもありません」
ハッキリと、これは私が抱える問題であり、隊長には何一つ落ち度などない。
今まで数多の女を落としてきたのかは知らないが、恋愛に関しては負け知らずだったんじゃないだろうか。私に告白したのも、一種のステータスのようなものだろう。または、吊り橋効果というやつ。きちんと伝えるべきことを言えば、きっと諦めてくれるはずだ。
「ただ、隊長は私には勿体ないんです。本当に、ただ、それだけなんです」
少し肩を竦めて、苦笑いを浮かべてみせる。
「私はいつも自分のことで精一杯で、他の誰かのことを想えるほどの余裕はありません。それに、隊長も薄々お気付きかとは思いますが、私は兄のように慕っていた人を私怨の為に斬ったことがあります。もしかしたら今度は、それが隊長かもしれない。そんな覚悟は、お持ちでないでしょう?」
「お前は俺を斬らねェ」
「分かりませんよ、そんなこと。誰にも」
無言の睨み合いが続く。
耐えきれなく口を開いたのは、私だった。
「本当に、ダメなんです。今まで通りの関係で、勘弁してもらえませんか?」
隊長が諦めてくれさえすれば、もしかしたら、一々隊長の行動にドギマギしないで済むかもしれない。
「そんなんじゃ、俺は満足できないんでィ」
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伝説じゃないパンダ - お久しぶりです!コメントは全然大丈夫です!忙しいと思うので(^^;)テストの結果が良かったことを祈ってます!今回もとても面白かったです!続きも楽しみに待ってます!!!(*´∇`*) (2019年9月15日 13時) (レス) id: dcff47e5eb (このIDを非表示/違反報告)
ちびロボ(プロフ) - 伝説じゃないパンダさん» 先月のコメントに返信できず、申し訳ありません(T-T)毎月毎月ありがとうございます!1ヶ月更新を待ってくださる伝説じゃないパンダさんの懐の深さに感謝です(^^)テストが終わり次第書き溜めたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年7月18日 18時) (レス) id: 6ccebea4a4 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - あ!伝説のパンダです!伝説じゃなくなりましたが!w (2019年7月18日 3時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - 発狂するかと思いました!(笑)夢主ちゃん!頑張れ!← 毎月、面白いお話が読めて幸せです!更新については、焦らないでくださいね!勉強に支障が出てはいけませんし!レポートと、テスト。。。辛いですね。勉強頑張って下さい!私は一から読み直します!! (2019年7月18日 3時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 本当に今回も最高でした!夢主ちゃんよかったですね〜!本当に安心というか!夢主ちゃんの復帰の仕方も、あの人達らしいというか、、、、w本当最高です!大変かと思いますが、最後まで私も応援しますので、こちらこそよろしくお願いします! (2019年6月15日 12時) (レス) id: 7058246684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちびロボ | 作成日時:2019年4月2日 15時