ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

日向翔陽 ページ1

「翔陽お疲れ様！！」


「遅くなってごめん！」


「ううん。全然いいの。」


ちょっと寒いね。っていいながら


自分の手に息をふきかける俺の彼女。


「今日部活？」


「ううん。委員会」


「図書室あったかそーだな」


「でも足冷えるよ」


冷え性なんだっけ。


それなのに外で待っててくれた。


「なんか暖かいの奢るよ」


「いいよいいよ！私が好きで待ってたし。」


「でも寒いのにA待たせたから｣


俺がそう言うと、少し考えているA。


「…こっちがいい｣


ちょんとつつかれた自転車を押している俺の手


「あ、でも押しにくいよね。このまま歩こ」


「ごめんな」


なんか俺にできること無いかな…


Aの家ももう少し、


人通りが少ないこの道は、


暗いのが苦手なAにとって帰るとき辛いらしい


確かにこの道を女の子1人で通らせたくはないな。


「…翔陽」


立ち止まったAに合わせて、


俺も自転車を止めた。


「ん？なに？」


「あの、その、うーん。」


「どうしたの？」


「ちょっと待って、今言うから」


「うん」


あー。うー。とか言いたくなさそうな雰囲気で


頑張っているA。


「あの、ハグ、して…ください…」


最後の方は声が小さくて聞き取りずらかったけど


何を言ってるかは分かった。


すごく可愛い彼女からのすごく可愛いお願い。


頭がキャパオーバーして、何も返せない俺に


「…ごめん、やっぱいい。帰ろ。」


拗ねたように言うから。


「…わっ」


「ごめん、嬉しくて固まってた」


「そ、そんないきなり！」


とか言いつつも、俺にぎゅっと抱きついてきた。


あまり身長差は無いって思ってたけど、


案外俺の方が大きい。


「ちっちゃいな」


「翔陽に言われたくないもん」


「A可愛い」


はじめてのハグは、可愛い彼女のおかげでできた。

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