32話 ページ42
ガヤガヤと騒がしい生徒達をよそに犬神は眉間に皺を寄せた
(…おかしい…。首を噛み切ったはずなのに…手ごたえがまるで無かった…?)
牙が肉に食い込む感覚は確かに感じた。だが、食い破る感覚を覚えなかったのだ
まるで『最初から』そこに繋がっていなかったような……
「…やはり、若を狙っていたな」
『!!』
慌てて振り仰ごうとするも何かに引っ掛かって上手く行かない。
その正体は紅い…細い糸。
「覚えておくといい。
首だけで戦うのは、君だけじゃあ無いんだよ」
『なっ…!?てめぇ、リクオじゃねぇのか!?』
「ちょっと名の知れた妖怪、とだけ言っておくよ」
「首無!!」
噛みごたえが
なかったのは元から首が繋がっていない、首無だった
「え?リクオ様?あれ?あっちが首無!?」
『クソがっ!!こざかしいマネしやがってぇぇ!!』
「ムダだよ。ボクの糸は逃げれば逃げるほど、絡み付く。毛倡妓の一度好きになったら離れない性格と、絡新婦の束縛グセが合わさった糸だからね」
(くそ...!こんなヤツらに、負けてたまるかよ…!)
一緒に行こう犬神。
玉章はそう言って手を差し延べてくれた。
それは救うためなんかじゃなく利用するため自分は、あの冷たい笑顔を生涯忘れることはないだろう
オレは…!
______来いよ、見せてやる。
だけど、玉章は言った。手を差し延べてくれた。
君に新しい妖怪の世界を見せてやる。
「り、リクオさま!!」
「…まずい!リクオ様を狙っている!」
今、リクオは人間の姿...あんな巨体に牙を剥かれたらひとたまりもない…それを瞬時に理解したのは首無だけではない。
躊躇なく襲い掛かる凶刃とも呼べる一薙からリクオを守ったのは河童と毛倡妓だった
(……奪(と)った!)
引き抜いた前脚、それは奴良リクオの血で染まっているはずだった
だがそこに付着していたのは、刃で真っ二つに裂かれた己のどす黒い血だった
「陽(ひ)は、閉ざされた。
この闇は…幕引きの合図だぜ」
その声はカーテンの裏の闇で夜の姿のなった『リクオ』だった。
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☆Nami☆ - 牛頭丸が良いと思います! (2019年4月6日 1時) (レス) id: 81e23f1292 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪夏海 - 鼓星さん» ありがとうございます! (2019年3月4日 23時) (レス) id: 60a927c32c (このIDを非表示/違反報告)
鼓星 - 牛頭丸 (2019年3月1日 23時) (レス) id: 4e18eb5fcf (このIDを非表示/違反報告)
吹雪夏海 - 今のところ、オチなしと馬頭丸です。また他のとこでも投票を行ってますのでもしご希望に沿わないオチになりましたら申し訳ないです汗 (2019年2月11日 0時) (レス) id: b60bb44552 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪夏海 - 珱夢さん» ありがとうございます! (2019年2月11日 0時) (レス) id: b60bb44552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吹雪夏海 | 作成日時:2018年10月15日 12時