二十七輪の花 ページ28
「ん…」
Aの綺麗な目が開いた。
咄嗟に俺は深々と頭をおろし、Aに謝った。
『…A。今まで本当にすまなかったッ…俺はAの気持ちも考えずに、自分だけで行動していた。…それがAを苦しめていたことを知っていた…知っていたのに…。愛する人を苦しめてしまっていた…』
自分の体が少し震えていることが分かった。
…………
俺とAの間で静寂が起きる。
すると、頭に暖かい手が置かれたのが分かった。
「冨岡…いえ義勇様…。私はあなたを許します。」
はっと顔を上げる。
「義勇様が謝ってくれるなんて思いませんでした。…そして分かりました。確かに、義勇様を私は恐れていました…でも義勇様は庇った姉を自分のせいで鬼にしてしまったこと、錆兎様のこと。全てを自分のせいにしていました。それにより、誰かに愛情を求めていたのでしょう…?」
「私は…正直、まだ義勇様が怖いです…けれど、少し安心しましたよ謝ってもらえて。」
Aは俺の目をじっと見つめながら、微笑んだ。
『…Aッありがとう…ありがとう……これからは…Aを大切にする…』
「ありがとうございます、義勇様。」
しかし…そう言うとAは咳をこんでしまった。
「ゴホッゴホッ…少し…体調が悪いようです。」
直ぐに俺はさっき作ったお粥を持ってきた。
『Aのように料理が得意では無いから……味には自信が無いのだが良かったら食べてくれ…』
俺は冷ましてやると、スプーンでAの口へ運んであげた。
「ありがとうございます…でも自分で食べれます…『ダメだ。』
最初は躊躇したが、大人しくなって食べてくれた。
「……!美味しいです。義勇様!!」
「誰かに…ご飯を作ってもらえるなんて。あまりにも久しぶりすぎて…嬉しいです。」
Aの目に涙が浮かぶ。
確か…Aの両親は鬼に殺されたと聞いた。
俺はAの頭に手が動いた、優しく撫でる。
「ッ撫でられるのも…。久しぶりです。」
Aは微笑んだ。俺もつられて笑顔になった。
……
俺とAの間に暖かい空間ができた。
お粥が全て無くなるまで…俺たちは一緒に時を過ごした。
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アイリ - もうこの小説は神ってますね…最強です! (2021年12月11日 12時) (レス) @page11 id: 9da3e59768 (このIDを非表示/違反報告)
kyr - エ…。し、小説書くの上手すぎません?…、とてもとても凄くて、惚れました! (2020年8月2日 9時) (レス) id: 1a9dc60db7 (このIDを非表示/違反報告)
くまん(プロフ) - メロンソーダ大好き人間さん» ありがとうございます! 少しスランプ気味だったんですけど、これから遅い更新になると思いますがよろしくお願いします!☆ (2020年1月22日 0時) (レス) id: 7a77bfda0d (このIDを非表示/違反報告)
メロンソーダ大好き人間 - 初めまして!とても面白いですね!!続き凄く気になります!!ゆっくりでいいのでお願いします!!更新頑張ってくださいね!! (2019年12月9日 20時) (レス) id: 0747bee2c2 (このIDを非表示/違反報告)
くまん(プロフ) - しらとぅさん» しらとぅ様、ありがとうございます! 作者は変態なので 皆さんが引いてしまうんじゃないかと内心ひやひやしながら執筆してます笑 コメントして貰えるのって凄く嬉しいし、ありがたいです(T_T) 感謝… (2019年12月3日 0時) (レス) id: 7a77bfda0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2019年11月11日 21時