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 オーケストラがそこにでもいるかのような音楽が大講堂に響いた
 マレウスの歌声は
 聞く者の耳を奪ってしまう




「これは…花の街に古くから伝わる歌ではないか!」


 ステージを降りたロロが目を見開いていた
 マレウスはこの日のために花の街の歌を練習していたのだ
 …ま、そこへヒールの音が響く
 交流会でヒールを履いているのは女であるナミだけ
 ロロはそれがすぐにナミだと見極めた




「照明から逃げていたな。曝け出してやろうと思ったのに」


 ロロは意地悪な顔をした




「っ…!?」


 だが、ロロは見てしまった
 ナミを姿を見て、目を大きく見開く
 



「か、か…」


 褒め言葉を言いそうで言わないロロ
 そんなロロの姿に「よし!」と副会長らはガッツポーズをしている

 ナミはロロに顔を向けることなく、ずっとマレウスたちが歌うステージを見上げていた




「っ…うぐっ…」


 ロロは何とも言えない気持ちに頭を抱えた




「まったく君は…」


 はあ、と呆れるロロだが
 その耳は真っ赤に熟していた
 ロロは壁に背を打ちつけ、腕を組んだ




「その…君は歌わないのかね?ステージには立たないのか?」


 ナミは頷く
 それを視界の端で見つけたロロは




「どうやら闇の鏡の番人は目立ちたがらないようだな」


 ふんっと嫌そうな音を鼻から出した
 



「けれど…それで本当にいいのか?」


 ロロはナミを見つめる
 仮面の下からうっすらと見えるナミの瞳を確認した。揺れている
 目立つな、と闇の鏡に言われたナミ
 でも、本当はーー
 “みんなと歌いたくて仕方なかった”
 ロロはそんなナミに告げ口をする




「マスカレード…仮面を付ければ、正体は誰にもわからない」
「もうないぞ?こんな夜…」


 ナミはロロの言葉に目を丸くする




 そして安心したようにクスリ、と微笑み
 ステージへ足を動かした




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作者名:真灯 | 作成日時:2022年11月27日 10時

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