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011* ページ12

凪咲:もうこんな時間


火神:ん、そうだな。


他愛のない話をしていると、ふと見上げた先の23時過ぎを指す時計に名残惜しそうに凪咲はそろそろ帰ろうかな。と呟く

立ち上がった凪咲に続いて火神も立ち上がると送ってくよ。と玄関先まで歩き出す


凪咲:送ってくって、お隣じゃん


くすくすと笑う凪咲にいいだろ!とむきになる火神


また明日ね、とまだ笑いを隠せずに言う凪咲に早く帰れ!と言うとはーい。とサンダルを履いてドアノブに手をかける


凪咲:そだ、大我!明日一緒に学校行こ?


一瞬動きを止めた凪咲は、振り返ってそういうのでおう!と返すと嬉しそうに笑ってじゃあね!と手を振りながら帰っていった

すぐに隣のドアが閉まる音がして、心配するほどでもないと分かっていながら、無事に家に入ったのだと安堵する自分はかなり過保護だろうか。などと考えながらついさっきまで凪咲がいたリビングに戻る

見慣れたはずのその場所が、ほんの数時間凪咲がいたというだけでやけに寂しいものに感じる

はぁー。とため息をついてその場にしゃがみこむ


火神:まさかこんなに早く会えるなんてな


改めて実感したその事実につい嬉しさから頬が緩む

凪咲が戻る前に日本に来てしまったことで、再開するのは大人になってからになるものとばかり思っていた


火神:...もう寂しい思いはさせねー


アメリカにいた頃の凪咲を思い出して、再び自身の決意を言葉にする

両親を早くに亡くしたという凪咲は、そのことで周りから不憫に思われたり心無い同級生達にからかわれたりしていた

そんな時決まって何を言い返すでもなく静かに微笑んでいた凪咲が、たまたま見かけた夕暮れの公園で一人うずくまって泣いていたのを見た時決心した

凪咲が一人で泣かずに済むように俺が支えてやるんだ、と。

先日祖父を亡くし身内がいなくなってしまった凪咲はきっと不安に思うことも多いだろう

いつも弱さを隠してばかりだった凪咲が今日は随分と弱々しい様に感じた

久々の再開をうれしいと感じながら、自身の意志を再確認した火神は首から下げられたリングを強く握りしめた

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作者名:Nagisa | 作成日時:2022年7月11日 2時

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