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私と貴方とレモン味<nk> ページ20

ー初恋はレモン味、って本当なのかもしれない。


あれは、私が学生の頃だった。

昔から喉が乾燥しやすかった私にはのど飴は必須アイテム。

なのにその時、私は丁度のど飴を切らしていたのだ。


「最悪…ごほっ…」


咳をしながら机の上に突っ伏していると、当時同じクラスだった彼が声を掛けてくれたのだ。


「さっきから咳めっちゃしてるけど…大丈夫?保健室行く?」

「…なかむさん?大丈夫、元気…げほっ」

「それは無理があるって…」


私が繰り返し大丈夫、と言っていると、彼は一つの小さな袋を差し出してきた。


「これ…あげる」

「ん…えっ、それ…」


それは琥珀色をしたのど飴だった。


「えっ、いいの?」

「もちろん。これで少しは良くなると思う」

「…ありがとう」


包み紙を開け、口に入れる。
優しい蜂蜜と生姜とレモンの味が喉に効き、少し喉の調子が良くなった気がした。


「喉、痛くなくなった」

「良かった。喉、お大事にね」


そう言って笑う彼に私は恋をしたのだ。


恋愛について疎い私は、恋をしたのがあの時が初めて。


「初恋はレモン味…かあ」


確かにあののど飴は甘酸っぱかった。
恋をする、ってこんな味なんだ。


「ん、なんか言った?」

「なんでもないよ」


空になった包み紙をきゅっと握りしめ、私は席を立った。





この先、彼が私に告白するなんてこと、私はまだ知らない。

彼ももしかしたらレモン味を味わっていたのかも、なんてね。

私と貴方達と三角形<smbr>→←私と貴方とビニール傘<kn>



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ながいぱん - つきりとさん» コメントありがとうございます。つきりとさんのコメントにはいつも元気づけられていました!こちらの方こそ感謝したいです。「最高」という言葉、とても嬉しいです。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月14日 14時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 完結おめでとうございます!!どのお話も最高でした…!新作も見に行きますね!お疲れ様でした! (2021年11月14日 14時) (レス) @page46 id: 56bbbbea71 (このIDを非表示/違反報告)
ながいぱん - 黒川さん» コメントありがとうございます。完結まで着いてきてくださりこちらの方こそ感謝したいです。この小説の事をこんなにも真剣に見て頂いている事に感動しました。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月13日 11時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →作品に出合えることを待っています。拙い文章&長文の感想失礼しました。(感想に衍字、誤字があったらすいません。)改めて完結おめでとうございました。青春をありがとう (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →見出しの文のように甘酸っぱい恋愛ものからほろ苦い恋愛もの。恋愛という一つのジャンルで一つ一つの作品の内容が被らずこんなに輝いている小説に初めて出会いました。読んでいるとき毎回過ぎ去った青春、恋をを生身で体験しているようでした。何時またか貴方様の→ (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ながいぱん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Nagai-pan3/  
作成日時:2021年10月2日 20時

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