103.むかしばなし ページ3
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・・・
少し冷えた手が、頬を撫でる。
何だろう。誰だろう。
私はまた眠っていたのだろうか。
穏やかな微睡みの中で、冷たい手が気持ち良くてスリ…と自ら頬を寄せる。
大きくて、温かくて、優しい手だった。
…リーマスの手みたい。
もしかして、これも夢なのかもしれない。
ゆっくりと瞳をこじ開ければ、白い光が飛び込んでくる。
その光の中に、見覚えのある人影。
「リーマス……」
傷つけて、ごめんなさい。
また貴方のそばにいることを、許して。
「リア？」
「………！？」
「起きたのか？」
リーマスの声ではなかった。
ぱっと目を開けば、ぼんやりとした視界の中でアイスブルーの瞳とかち合う。
「……シリウス」
サラリ、と顔にかかった髪を払いのけられる。
その指先は優しく、壊れ物に触れるように額を撫でた。
「何か飲むか？」
シリウスの顔がはっきりと見える前に、また瞼を下ろす。
「………ううん」
瞼の裏にまだ白い光が残っている。
眩しくて、目を逸らしたくなった。
「…一応水は置いておく」
「ありがとう…」
「……」
シリウスは何も聞かない。
恐らく、ほとんどのことを知っているのだろう。
気を遣って好きなようにさせてくれているのだ。
その事実がさらに申し訳なく、後ろめたく感じる。
さらり、とまた髪を梳かれた。
少し冷えた指先が頭皮を掠る。
「……シリウス」
僅かに掠れた声で彼の名を呼べば「ん？」と柔らかな声が返ってくる。
「…何か、話して……」
「……」
幼子が眠る前に絵本を強請るような、そんなわがままだった。
シリウスは何度も髪を梳く。
安心させるような手つきが眠気を誘う。
「……俺たちの、学生時代の話だ」
「…うん……」
ゆったりと、優しい声でシリウスは語る。
「こうして、2人きりで、寝っ転がる時があった」
「…ん、」
「…昼下がりに、湖畔で、芝生の上で寝るんだ。
他愛のない話をしてな」
スリリ…とシリウスは私の下瞼を親指でなぞる。
リーマスとも違う手つきで、ゆったりと往復した。
「今みたいにリアはよく寝て、俺はいつも側で見ていた」
「……」
「…お前は元々、よく寝る。ただ、勉強やら訓練やらでほとんど眠れてなかった」
それは、学生時代の話だろうか？と思ったが、口に出さずに終わる。
私は薄っすらと目を開けた。
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もちお(プロフ) - 寝る前や空いた時間に少しずつ読みました！この作品がとても大好きです、更新楽しみにお待ちしてます！！！ (4月29日 16時) (
レス) @page32 id: 3dbffe5af8 (このIDを非表示/違反報告)
ことり。 - 引き込まれてどんどん読み進めてしまいました！更新楽しみにしています！ (4月4日 22時) (レス) id: 0c2f06c45e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ななさん» 更新が滞ってるのにも関わらず、温かいコメントありがとうございます^ ^ 少しずつ時間を見つけて更新していこうかと思います！これからもよろしくお願いいたします。 (9月8日 10時) (レス) id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
なな - 久しぶりに読み返しました、また号泣してしまいました（т-т）無理せず更新されることを願ってます。 (8月27日 1時) (レス) @page28 id: aed3455a0e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - イジーさん» ありがとうございます！お話更新したので是非^ ^ (2023年3月29日 22時) (レス) @page26 id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2021年9月7日 23時
