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薬草学の授業を終えて寮へ戻ろうとするロレッタだったが、薬草採取場に来週の授業に用いるために採取した薬草を落としてしまっていた。急いで取って帰ろうと、薬草採取場へと向かう。
薬草採取場にいたガリオンが、薬草の束を片手に佇んでいた。
「あれ、ロレッタさん?」
「こんにちは、ガリオンちゃん。ちょっと忘れ物しちゃってさ」
ガリオンちゃんこそ、どうしてここに?そうロレッタは問いかけようとして、やめた。その薬草は、思い出しの魔法に使うものだと思い出したのだ。小さな花がいくつか咲いた、ほっそりとした薬草である。
「今、魔法の改造をしてるところで。思い出せる範囲を一年まで広くしたんですよ」
派生魔法の作り方が結構丁寧に書いてあるし、元々の魔法自体簡単ですから。ガリオンは薬草の束を雑にポケットに入れて、軽く伸びをした。
ロレッタはふぅんと相槌を打って、落としていた薬草を拾った。懐に入れて、ふとガリオンに問う。
「どこまで思い出せると思う?」
「五年までいきたいです。いけるかはわからないけど……三年までは多分いけます。私、こういうの得意なんですよね。……あれ?これ、前も言いましたっけ?」
「言ってたよ。呪文学が成績トップ、だったっけ」
「はい!それと、魔法語学も。この前は落ちちゃったけど、最近は飛行術も上達してきてて……あはは、自慢なんですけど、私って四年生の中じゃすごい優等生なんですよ」
ケラケラと嬉しそうに笑うガリオン。その幼気な様子が可愛らしくて、ロレッタもつられて笑った。
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