すれ違って惹かれ合うpart3【そらる】

すれ違い97 ページ13

Aside


…違う。

彼方と仲良くなりたかったからじゃない。



『みんなに、嫌われたくなかった』


彼方「え？」




斎藤さんのせいで、今の私があるわけじゃないんだ。


私はもっと昔から、繕ってた。


『独りが嫌で、繕って、みんなの中心になれるように、嫌われないようにしてきた。
私、みっちゃんと同じかも』


……でも、みっちゃんに嫌われてるんだったら、このやり方はやっぱり間違ってるよね。



こんなことしていて、さらには気づいてなかったとか……


最低なやつだな…私。



『ごめんね、彼方。私、彼方が思ってるほど良い人じゃない。良い彼女じゃない。

どれが本当の自分なのかもわからない。

飾りをいっぱいつけて、メイクしまくって、自分を繕ってばっかりの最低な人間なのっ……
彼方のこともよくわかんなくなってきちゃったし。


だから、









ｰｰｰｰｰｰｰｰ別れよ』



泣かないようにへらっと笑ってみせる。



彼方「…俺はAが好きなんだけど」



ずっと黙ってた彼方が口を開いたかと思うと、目の前が暗くなる。



『…んっ』



キス、されたの…？





彼方「Aが笑顔を作ってることとかは気づいてた。
でも俺は、Aが好きなの。

Aが俺のこと嫌いになったんなら、別れてもいい」



「本当は、俺に気を遣っただけでしょ？」そう言って彼方は優しく微笑む。



『そんな、嫌いなわけ…ないじゃんんっ』



どうしてこんなに優しくて、何もかもお見通しなんだろう。



彼方「あ〜あぁ。ほら、泣かないの。
……別れてほしくないんだったら、ちゃんと“大好き”って言わなきゃ〜」



ギュッと抱きついて頭を撫でてくれる。



『〜っ！だ、大好き……っ』


彼方「うん、よくできました〜」




もう一度、目の前が暗くなる。



大好きなラズベリーの、甘酸っぱい味がした。

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