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メモリーリンク。 ページ5

「どうぞ。」
あたしが返事をするとドアが開き、看護師が入ってきた。
「検査のお時間です」
「はーい、ありがと。」
あたしは車椅子に乗り、看護師に押してもらう。
部屋に入ると、人間ドックの時のような機械に入れられることが説明された。
機械のある部屋に通されると、なんだか見覚えのある感じがした。
「あれ、ここ、どっかで見たことあるような…。」
気のせいだと自分をごまかし、機械の下にあるベッドのような所に横になる。
「動きまーす、じっとしててくださいねー」
看護師の声が聞こえたあとドアが閉まり、大きな音を立てながらベッドが機械に入っていく。
そのとき、あたしはまた、あの大雨の日のような激しい頭痛に襲われた。
「うっ……」
この光景、「向こう」で見た気がする…。
そう思った途端、あたしの体はいうことを聞いてくれなくなった。
とまりたい、とまれない。とまりたい、とまれない。
それが何度も何度も続いていく。
「落ち着いて下さい!Aさん!」
「おい誰か、大至急九条先生を呼んでくれっ!」
看護師や医師の声が聞こえてくる。
でも、体は暴走をやめてくれなくて、いうことを聞いてくれなかった。
どのくらいたったんだろう。
白衣を着た貴利矢が走ってきた。
「落ち着け、A!自分が分かるか?」
駆け寄ってきた貴利矢は、暴れているあたしに何度も何度も跳ね飛ばされそうになっていたけど、それでも止めてくれた。
やっとあたしにたどり着いた貴利矢は、あたしをぎゅっと抱きしめ、頭を優しく撫でてくれた。
「…!」
あたしの暴走が止まった。
それを確認した貴利矢が落ち着いたトーンの声で聞いてきた。
「どうしたんだ?」
あたしは途切れ途切れに答える。
「あたしの中で、なんかが、なんかが繋がったの。ここ、きたことある。そんな、気がする。」
貴利矢はあたしの頭をぽん、ぽん、と、一定のリズムで撫でながら言った。
「そっか。なんかの記憶が、こことリンクしたんだな。ありがとな、話してくれて。」
「…え?」
「だって、辛かっただろ?痛くて、苦しくて、だけど、1人で抱え込まずに話してくれた。だから、ありがとな。」
「……うん……。」
あたしは安心して、思わず貴利矢の腕の中に抱きしめられたまま、泣き崩れてしまった。

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海苔川ばなな - ニコさん» コメント遅くなってしまい申し訳ありません!読んで下さって有難う御座います!文章変かもしれないんですが、読んで下さると嬉しいです! (2018年6月26日 8時) (レス) id: a8889f40a6 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - すごく面白かったです!続き待ってます! (2018年6月25日 23時) (レス) id: 50ca3fafb3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海苔川ばなな | 作成日時:2018年6月25日 2時

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