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アナザーストーリー。 ページ18

その3年後。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
監察医・九条貴利矢は病院の廊下を走っていた。
本来なら走ってはいけないのだが、こればかりは仕方がない。
あと少しで、新たな命がこの世に誕生しようとしているのだ。
貴利矢は産婦人科の分娩室の前まで走ってくると、第1分娩室の前で止まり、そこにいた永夢に声をかける。
「永夢!」
「貴利矢さん!」
永夢が立ち上がり、貴利矢を見た。
「もう生まれた⁉…あ、まだここにいるって事は、まだ生まれてないって事だよね」
永夢も首を振った。
「はい、まだです。どっちも無事だといいんですが…」
「ああ…」
貴利矢はソファーに座り、落ち着かないという様子で貧乏ゆすりを始めた。

8時間後。
「…ゃー…ぎゃー、オギャーッ、オギャーッ‼」
「…あっ⁉」
貴利矢はいきなり聞こえてきた産声に驚いて立ち上がった。
「うっ…生まれたァァ⁉」
貴利矢の頰に一筋、涙が流れた。

103号室にて。
「…お疲れ様、A」
貴利矢はすやすやと眠るAの頭をゆっくりと撫でる。
生まれてきた貴利矢とAの子供は女の子で、とても元気に生まれてきたらしい。
「…ん…っ?」
「お、起きた?」
「あ、貴利矢…あたしは…ちゃんと赤ちゃん産めた?」
Aの疑問に、貴利矢は答えた。
「うん。すっっごく元気な女の子だよ」
「そっか。なら良かった。」
その時、ドアがノックされた。
「九条さーん。失礼しまーす」
ドアを開けて入ってきた看護師は、腕にピンクの布に包まれた赤ちゃんを抱っこしていた。
「あの、もしかしてその赤ちゃんって…」
看護師がにっこりと笑って答えた。
「はい。九条さんのお子さんですよ」
そう言って赤ちゃんを抱っこさせてくれた。
「…あったかい…」
Aの目に涙が出て滲む。
「じゃあ、失礼しますね」
看護師が出て行ってから、貴利矢はAの額にそっとキスをした。
「…これから、すごく騒がしくなるね」
「うん。でもすごく楽しくなると思うな」
「ああ…。3人で幸せになろうな…」
「…うんっ!」


2021年5月27日
命名 ことは

あとがき。→←朝。



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海苔川ばなな - ニコさん» コメント遅くなってしまい申し訳ありません!読んで下さって有難う御座います!文章変かもしれないんですが、読んで下さると嬉しいです! (2018年6月26日 8時) (レス) id: a8889f40a6 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - すごく面白かったです!続き待ってます! (2018年6月25日 23時) (レス) id: 50ca3fafb3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海苔川ばなな | 作成日時:2018年6月25日 2時

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