真緒と朝 ページ20
「A」
通学中に、誰かに名前を呼ばれた。
振り返ってみると、そこにいたのは長い前髪をピンで留めた赤髪の男の子。
「真緒。おはよう」
久しぶりに会った親戚に、懐かしさを感じる。
「昨日はごめんね」
せっかく応援しようと電話をくれたのに、冷たく突き放してしまった。
あれから後悔していて、面と向かって謝りたいと思っていた矢先に真緒に会えた。
「大丈夫、気にしてないからさ!それより…頑張れよ」
傷ついたはずなのに、気丈に振る舞う真緒。
無理して笑わなくてもいいんだよ。
「…ありがと、真緒」
なんとか振り絞った声は真緒に聞こえたらしい。
微かな笑いが伝わってきた。
「Aは俺の初恋だからさ、幸せになってほしいんだ」
明るく笑った真緒の言葉に、足が止まる。
「初…恋…?」
「あ」
しまったと言うような顔をして、真緒は照れくさそうに頬を掻いた。
「今はもう吹っ切れてるけど、中学の頃はAが好きだったんだよ」
初めて知った事実に、言葉を返せなくなる。
遅れるからと私の手を引いて、真緒は歩き出した。
「だからさ、Aには幸せになってほしいって思ってる。
昔の俺は自分の手で幸せにしたいと思っただろうけどさ、それは俺の役目じゃないんだよな。
それを確認したくて、昨日電話したんだ」
だから、ナル子ちゃんのことをどう思ってるかって話になったんだ。
納得できた。
ちょうど演劇科に一番近い校門に到着し、
「Aが幸せになることを、祈ってるから」
頑張れよっと笑って真緒は背を向けた。
「ありがとう、真緒!私、頑張るから!」
遠ざかる背中に叫ぶと、真緒はひらひらと手を振った。
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ふぉーる@あんスタ民(プロフ) - Renさん» この作品まで読んでくれてるとは…ありがとうございます!頑張りますね♪ (2016年3月3日 0時) (レス) id: e8157d34f2 (このIDを非表示/違反報告)
Ren(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2016年3月3日 0時) (レス) id: fb3e3617f8 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 結弦の毒舌ワロタww (by25p) (2016年2月28日 1時) (レス) id: 50623d36ac (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き娘カナタ(プロフ) - 凜月くんがいいでーす (2016年2月16日 21時) (レス) id: f4ce0a0d3b (このIDを非表示/違反報告)
ウミユリ(プロフ) - 演劇科の島崎優雅君でしたっけ……?ロミオ役の子がライバルだといいなーと思います|´-`)チラッ (2016年2月16日 19時) (レス) id: 99c69c867f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぉーる@あんスタ民 | 作成日時:2016年2月7日 1時