11 ページ11
.
今は朝だった筈だが、
窓ひとつないこの部屋では朝日が差し込むことはなく
目の前にいる存在ですら視覚で捉えるには難しい
二階の最奥にあるその部屋に足を運び、通う機会は多くない。
が、ロボロの話を聞いてからは以来ここへ通う回数も増えてきた
ロボロからは物凄い勢いで私がその部屋に踏み入る事、
なかにいる人と関わることを否定されたが、
私が来るずっと前からここに住まう人にいつまで経っても挨拶をしないのは如何なものかと考えた。
それを聞いたロボロには呆れられてしまった
左右に部屋が並ぶ廊下の一番奥が例の部屋で
重ねに重ねられ、貼り巡らせられている札はいつのものなのか、
私が来たと向こうも気づけばこれまたいつも通りその襖がカタカタと震えだす。
そのせいで数枚揺れ落ちる札を拾うのが最近の日課だ
なぜだかその日はソレから目を離せなくて
初めて自分の手でお札を剥がしてしまった。
お札の上にお札が貼り重ねられているぐらいだから
決してここから出してはいけない危険で深刻な存在がこの奥に閉じ込められている事は自分だって理解できている
それでも自身の手は辞め時と恐怖心を忘れ、
また一枚と剥がしてしまう。
なにかあったとて、きっと二人が気づいてくれるだろうから、
なんて浅ましい考えが脳裏によぎる
ショッピはまだ私の布団で寝てたと思うけどロボロは起きてるかな、
気がついた時には剥がしたお札の束が手元にできていて
目の前にある最後の一枚を捲ればこの作業にも終わりが見える
それなのに馬鹿な自分はここにきて怖気付いてしまい
その一枚を剥がすことが出来ずに立ち尽くしてしまった
先程まで小刻みに震えていた襖もいつの間にか音を顰めていて、
向こうもその機会を窺っているのがわかる
その様相が余計に物恐ろしさを掻き立ててきて
間抜けで腰抜けな私は踵を返そうと そこに背を向けてしまった
ロボロかショッピが起きてからにしよう、なんてこんな時まで他人任せな自分に辟易する
これはそんな私への報いだろうか
その場から逃げるように一歩踏み出せば足元に はらり、とお札が落ちてきた
自分の手で剥がしたお札はすべて手元にあるから、
気づいた時には何もかもが遅くて
背後から迫る何者かの大きな手でその部屋に引き摺り込まれてしまった
ここまでが今起こった事の顛末である。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1049人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
烏丸 - めちゃ好きです…！！個性ある妖怪(？)d！さん達もいいですが、夢主ちゃんがかわいそすぎます…特にshpが猫だった頃の話とか読むの辛かったです…でも「お肉が溶ける」とかいうくらいの人で、好きになれます…！！応援してます！！ (2023年4月23日 20時) (
レス) @page18 id: 144a6ab78e (このIDを非表示/違反報告)
水上灯 - 一番最初が「家賃払え」なところ、それに反したギャップがありそうなのが楽しみです･･･（まだ読んでない人）！ていうか絶対面白いですよねこんなの。 (2023年4月23日 10時) (レス) id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
LAL - 更新ありがとうございます！！ずっと待ってました！！大好きです♡応援してます！ (2023年4月22日 13時) (レス) @page18 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
まるみの粉(プロフ) - ★RIO★さん» コメントありがとうございます！この作品を読んで頂けて本当に嬉しいです、自分でもなんだかやるせなくて悔しいです､､､思い出せる範囲でぼちぼち執筆させてもらってます。 (2023年4月21日 20時) (レス) id: ef020418fa (このIDを非表示/違反報告)
★RIO★(プロフ) - 初コメです。結構前にこの作品を見つけ、更新を楽しみによく読んでいた者です。(先程通知が来て飛んできました)最近ないなーと思っていましたが、そうだったんですね...自分はこの作品が大好きなので、出来れば続いて欲しいなと思いますが、無理をせず頑張ってください! (2023年4月21日 8時) (レス) @page18 id: a7931ac012 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ま | 作成日時：2022年9月26日 17時
