…じゃあ、 ページ7
人を綺麗だと思ったのは、おそらくそれが初めてだと思う。
引き込まれるような、緑とも青とも区別つかぬ瞳にくぎ付けになっていた私は、彼がいきなり立ち上がったことで突然現実に引き戻された。
「…おい、ユウト。こいつ誰だ?」
耳に響く心地いい低音が少しずつ近づいてきて、なんかもう色っぽい。
こいつはもしかしたらよく聞く「歩く18菌」(変換ミス)なるものじゃないだろうか。
ユウト、と言うのは先ほど轢かれそうになった少年の名前らしい。
元気に小学生のような声をあげながら、敬礼する勢いで姿勢を正す。
「えっとですね…話すと長くなるんですが、此方に命を助けてもらったので…龍志さん、いつも仁義は通せと言ってらっしゃるので、ここで何か奢ろうと!」
「…あ?命のお礼としてそんな安っぽいもんあげんのか?」
眉根を寄せながら一気に不機嫌になったその顔に、ユウト君は一気に青ざめ90度の姿勢で謝った。
殺気みたいな、恐ろしいオーラがここまで漂ってくる。
っていうか、まるでカツアゲの一シーンみたいな感じなのに、言ってることは優しいな。
「なぁおい。」
「…………はい?」
歩く18菌(変換ミス)がいつの間にか目の前に来ていて、ちょっとびっくりした。
思わず目を見開きながら返事をすると、さらに眉根を寄せ私をじっくり見つめてきた。
「…俺のツレが世話んなったな。話は聞いた。随分申し訳ねぇことをした。礼に、俺らに何かさせてくれ。何でも構わない。」
「…いえ、私のせいでもありますから。ユウト君が無事でよかったです。」
冷静に受け答えしているけど、内心は汗ダラダラ。
だって明らかに怖い。美しいけど怖い。イケメンだけど怖い。
顔立ちは本当に整っているんだ。
でもそのせいで、凄まれると本当におびえてしまう。
いろんな修羅場を潜り抜けてきた人なんだな、とわかってしまう。
「それじゃあ俺の気が済まない。頼むから、何か言いつけてくれ。」
そんなことを言われても…と困ってしまう。
お願いがないわけじゃないけど、咄嗟に言われたら何も思いつかないのが普通の人間だ。
というか、もともと考え込んだって思いつかないほど欲がないし。
物欲は、見たら欲しいなーって思うけど異常に欲しがるレベルにも達しないからな…。
「ふ、普通に飲み物でも奢ってくだされば…」
「命を助けてもらったんだ。飲み物で済ますなんて俺のプライドが許さねぇ。」
あの、すみませ、何か言うたびに眉間の皺が…え、死亡フラグ?
「…あ。」
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時