寝ている間にすべてが終わってしまっていたのか。 ページ46
「ニュースくらいにはなったぞ。消えた死体、何処へみてーなこと書かれてた。」
「そっか。」
くすり、と笑みが浮かんでしまう。
私はまだここで生きているのに。でも私の存在は、いないはずなんだ。
なんかすごく変な気分。
何をしても許されてしまうような感じだ。
「...私の家族は?」
「...」
黙りこくってしまった龍志を、私ははじかれたように不安げに見上げた。
そして龍志と目が合う。
いつものような、突き刺すような細長い龍志の瞳。
それが何かを物語っているようだけど、それを読み取ることは私には到底無理で
「...お前」
「龍志さん!お昼とどけにきました!」
ぞろぞろと騒がしく足音をたてて、私の病室の扉が開かれた。
今気づいたけど結構おんぼろな場所のようで、所々の壁がはがれかけている。
今の衝撃で、隣の壁がメキリときしむ音をたてて剥がれた。
…ここ、大丈夫かな。
「おう。悪ィな。」
「あっ!A、起きたんスか!」
「雄人君だ。久しぶり。」
にこりと笑みを浮かべた。
だんだんと本調子に戻ってきた。
いまだに体に痛みはあるし、なんか束縛されてる感じに動きづらいけど、声もちゃんと出せるようになったし大丈夫かな。
「心配したんスよ!」
がばりと音を立てて抱き着かれた。
「ぁいだッ!」
思わず悲鳴をあげた。
雄人君に抱き着かれたことによってどこかの切り傷か何かが痛んだ。
傷が開いてないといいな。っていうか怪我してたんだ。
「あ、サーセン!大丈夫スか!?」
「大丈夫大丈夫…」
傷があると思われるところを摩りながら苦笑をする。
そこでようやく、そこに包帯が巻かれていることに気付く。
さっきの束縛感はここからかな?
「…私、包帯巻かれたの初めてだ。」
「まぁ、大して傷は酷くないんだが、念のためな。そろそろ完治する頃だと思うんだが。」
龍志が私の手を取り、慣れた手つきで包帯を剥がし始めた。
やっぱり不良(っていうか暴走族)だし、こういうの慣れてるのかな。
剥がされた包帯の下には、結構赤黒い色を肌の中に残している。
思ったより結構深く切ってしまっていたようだ。
私の手のひらの長さくらいはありそうだ。何が大して酷くないだ。
木とかで切っちゃったかな。
「あ、ちなみにお前2週間くらい寝てたぞ。」
「嘘。」
「本当。」
そんなに長い間寝てるだなんて、まるで漫画の世界だな。
実際にそんなに長く寝ることなんてあるんだ。結構びっくりした。
寝ている間にすべてが終わってしまっていたのか。
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時