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さぁ早く連れて帰るか、と思った時だ。
「…実は僕、最近婚約者に逃げられてしまって。」
「…え?」
ドヒョンさんが急に口を開いた。
「少し話をさせていただいてもいいですか?」
何を言い出すのか、と俺は戸惑ったけど、はい、と返事をして椅子に座った。
「まー僕も色々あって、それでその話を彼女にしたんですよ。…そしたら、いきなりガンガン飲み始めて。」
「…そう…ですか」
…なんでお前が、酔うまで飲むんだ?
疑問だらけの俺に彼は言った。
「…すごく不安に思ったんだと思います。最近、彼が仕事が忙しいから構ってくれない…って言ってました。」
「Aが…?」
俺が不安にさせてたのか?
「…多分自分の口からは言わなそうだから、僕から言っておくと、彼女、今日、色々溜まってたものをリフレッシュする努力をしたみたいです。」
「…溜まってた…?」
「…1人で行動して、寂しさから抜け出そうとした、って言う感じですかね。今日の彼女は、吹っ切れた感じで、まるで独り身だっていう雰囲気だったんですよ。」
「………」
……なんだよそれ。
やばい。
ショックが大きすぎて何も言葉が出てこない。
「……僕も、寂しい気持ちにさせていたってことはなんとなく分かってても、自分の仕事で精一杯なところがあって。だから彼女はそんな僕から離れて行ったんだと思います。僕は未熟でした。」
Aが俺のそばから離れていく…?
……いやだ、無理だそんなの。
「言わなくても伝わるだろうなんて、間違ってますよね。…僕も今なら分かるんですけど。」
彼は自嘲気味に言う。
「…思い当たることはありますか?」
「…」
あぁ、馬鹿だな俺は。
まさに今の俺じゃないか。
「…彼女のために仕事してるはずなのに、仕事でいっぱいいっぱいで、彼女にはなにも伝えられていなかった、と思います。」
「…今分かっただけ良かったと思いますよ。」
「………離れていかれたら困るな……」
想像すらしたくない。
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Muu(プロフ) - ゆうさん» とても嬉しい言葉をありがとうございます!少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。 (2022年9月6日 17時) (レス) id: 350ffc1ce7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 最高でした。 (2022年8月11日 19時) (レス) @page46 id: be7c7766b1 (このIDを非表示/違反報告)
Muu(プロフ) - ユンギペンさん» ありがとうございます!完結へと一気に書き進められたのは、まさしくこのメッセージのおかげです! (2022年6月25日 2時) (レス) id: 350ffc1ce7 (このIDを非表示/違反報告)
ユンギペン - 続き楽しみに待っています!更新頑張ってください😊いつもお疲れ様です☺️ (2022年6月23日 22時) (レス) id: b9da242e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Muu | 作成日時:2021年9月15日 17時