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七十四 ページ22

夜明け前の静かな時間。
裏に隠れていた闇は表へと這い出る頃。



「吉原で悪事を企むとは、運が悪かったのう」



金色の髪が風に揺れ、こつこつと音を立てて、近づく。
闇の影達が彼女に刀を向けた時、その影はどさりと音を立てて倒れる。



「月詠さん、引きつけてくれてありがとうございます」



倒れた影の後ろから、構えたAの姿。
その姿は小さいながらに逞しく、凛々しい。




「Aが百華に入団してくれるとは、いい戦力を持ったの」




ふうと吐いた煙は、風に寄り添うようにして流れた。


.

.

.



「私は…いや私を、百華に入れて下さい」



Aは、月詠に深々と頭を下げた。
突然の願いに、月詠は目を丸くし、顔を上げるよう促した。



「突然どうしたんじゃ」



頭を下げたままのAはそのまま語る。



「もっと強くなりたいんです。それに、私のこの力をただの暴力に使うんじゃなく、誰かを守る為に使いたいんです」



顔を上げたAの眼差しは、真っ直ぐで、決意を固めたように見えた。



「その誰かは、




…もうアンタの中で決まってるのね」


日輪がそう言えば、Aは縦に首を振った。
そして、もう一度月詠にAは頭を下げる。



「入団する以上、私も生半可な気持ちでしないのは勿論、どんなことでもやります。お願いします」



日輪と月詠は顔を見合わせた。


(百華に、ねえ)


その願いに、どう判断するかは、もう月詠の中では決まっていた。


.

.

.

.



「へえ。Aが百華にねえ」



銀時は団子片手に、月詠から話を聞いていた。

 

「百華に良い戦力が入った。わっちらも頼もしい奴が入って、将来安泰じゃな」



「腕力ゴリラ並の女が2匹もいちゃあ、吉原も安泰だな」



その言葉に、苦無と拳が飛んでいく。
銀時の額からだらだらと血が流れ、Aはぱんぱんと手を払った。

飲み終わった茶を片付け、裏に向かうAに



「んで、お前。辰馬とはどうなったの」



と銀時は声をかける。

Aは振り向かずに、そのまま裏へと暖簾をくぐった。
何も応えない女に、銀時は投槍に団子を口に放り込む。



「あの子、誰かを守りたいから百華に入って強くなりたいんだって」



「誰か、ねえ。あいつは守られるほどやわじゃねえと思うけど」



青い空を見て、今頃商売に直走る男の顔を思い出す。





「男は女に守られるより守りてえ生き物だと思うけど」




「女だ、って枠に囚われるのが嫌なのよきっと」


.

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Nattu(プロフ) - connyさん» 返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます!connyさんのご期待に添えるよう、楽しみながら書きたいと思います* (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - 応援してます!続き楽しみです! (2021年2月11日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月10日 14時

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