噂の古本屋【ヒプマイ】

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やる事もないので少し店内の掃除をしていた。



カウンターに座ったままだと眠くなる。



「こんな所に古本屋なんてあったか？」



店の入口付近からそんな声が聞こえた。



そういえば、前に夢野さんも同じような事を言ってたな。



どれだけこの店は影薄いんだ……



「三郎、よくこんな所見つけたな」



「一兄のお役に立てて良かったです」



あ、この前のゲームセンターで会った子。



来てくれたんだな……なんか感動する……



しかも兄弟揃って。すっごい似てるなあの兄弟。



ん？



イチニイってもしかしてイチ兄っていう呼び方？



うわ、勘違いがバレる前で良かった。



「でも……なんで二郎まで着いて来るんだよ」



「あぁ？何だよ三郎」



「お前ら静かにしろ！」



長男らしき男性が小声で一喝すると二人は一瞬にして黙った。



その仲睦まじい兄弟を眺めていると、ふと手が止まっていた事に気づく。



いいな、兄弟って。楽しそう。



一人っ子だったから少し羨ましい。



「すみませーん」



「はい」



カウンターには何冊かの本が置かれていた。



「あ」



「なんだ、三郎？」



「この前の……」



「ふふ、来てくれてありがとうございます」



ラノベなんてほとんど売れないから在庫処分する前で良かった。



兄弟を見送り、また掃除を再開した。

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