後日談2/2 ページ42
……空気が重たい。
ドキドキと高鳴る胸は言葉を紡ぐのを頑なに拒絶しているせいか、何を言っていいのか分からない。
そして彼も、何も話さない。
この空間が、気まずい。
付き合う前は、いつも何を話していたっけ。
「……あの」
そして沈黙破ったのは、真冬くんの言葉だった。
反応するように顔をあげると、悲しげな表情を浮かべた真冬くんがいた。
「ごめん、ね、あのときは、本当に……」
あのとき、私を閉じ込めようとしたことだ。
まだ、彼は気にしている。
『大丈夫だって、全然気にしてないし』
私が何度大丈夫と言っても、
彼は心配げな表情を浮かべるのだ。心配してくれるのは嬉しいけど、そこまで重く考えないでほしいな。
「なんか、前までは、君をいかにどう堕とすかに必死で。でも、なんか、……今は、何をしていいかわかんなくて」
『……うん』
真冬くんも、きっと色々あったんだろう。
何も知らない私が言っても、きっと何にもならないと思う。
でも、どうにかして彼の力になりたい。
「言いたいこととか、話したいこととか、たくさん、あるのに、……何を話せば、いいかわかんない」
その言葉が告げられたとたん、衝撃を受けた。
『……えっ!?』
ぎゅっ、と腰に腕を回されて、肩に顔を埋められる。
頬に当たるさらさらの髪がどうしてもくすぐったい。
どうして、急に。
何て聞かなくても、彼は話した。
「……好き。好きだよ。ずっとずっと、好き。大好き。愛してる。毎日手を繋ぎたいし、毎日こうやってハグもしたい。キスとかしてみたいし、一緒に添い寝とか、したい。キスの先もして、ぐちゃぐちゃにしたい。でも、大切にしたい。君を壊したくない、それから……」
『うっ、うん!!わかった!!ちょっとまって!!』
な、ななななななんでそんなにポンポン出てくるの!?
そしてどうして照れずにそんなことを言えるの!?
真冬くんの言葉にたいして、私の心臓は今もドキドキと高鳴っている。
『……い、言いたくなったとき言えばいいんだよ!い、今みたいなのはちょっと緊張するけど』
「……わかった」
『そ、それにっ!私も、真冬くんのこと、大好きだから!ま、真冬くんだけじゃないっていうか……』
は、恥ずかしい……!!
なんとか真剣に言葉を告げると、
真冬くんは頬を赤らめて嬉しそうに笑った。
「うん、王子様の、お姫様だもんね」
その発言に意識が飛びかけた私であった。
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いるよ - あああああああああああ!!!最高です!!なんか最後のところ泣いちゃいましたwヤンデレにハマってしまった…素敵な作品ありがとうございました! (2022年12月7日 0時) (レス) @page45 id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2022年3月9日 1時) (レス) @page45 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
月次 - 僕の好みどストライクのヤンデレです!とっても面白かったです。これでもっと想像の幅が広がる…!ありがとうございました! (2021年3月28日 9時) (レス) id: 34cc41e784 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬かるら(プロフ) - 心臓が泣き叫んでおります大歓喜 (2020年8月23日 0時) (レス) id: 018ad8bd5d (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» 本当にいつもありがとうございます……!!マーライオンwwwそのくらい泣いてくれたんですね!嬉しいです!私も目からマーライオンです!はい!楽しみに待っていってください! (2020年2月25日 7時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餡 | 作成日時:2020年1月6日 22時