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嵐のようにやって来た天使が帰ってから翌日。
私にはひとつの不満が出てきた。
『外に出たい』
「お庭いく?」
『き、木の実を……』
「それなら家の裏側に木の実がなってたよ」
なんだこいつ。確実に私を外に出す気ないだろ。
例え留守番だとしても、外から出られないよう玄関や縁側に繋がる襖を謎のちからで開けなくすると言う軟禁っぷり。
いけるとしても近くの川の洗濯ぐらいだ。
生憎神が食料を持ってくるので食べ物には飢えていないのだが、……。
『狩りがしたい』
「ええっ!?そんなのダメダメ!!女の子が狩りなんて……」
『普通にちょっと前まではやってたよ』
「ダメー!!俺の保護下にある以上は狩りなんてぜーったいダメ!!」
過保護すぎんだろ……。
私の村では女も普通に狩りに参加していた。
私は読み書きとか、勉強ができないかわりにずっと狩りで体力をつけていたのだ。
しかしまあ、ここのところは体がなまっているだろう。
どうにかして動かしたいものなのだが。
『……あ、あんたも、ちょっとは運動しないとダメなんじゃないの』
「え?俺?……」
真っ白すぎる肌と、細すぎる体。
そんなひょろひょろなのが神様とか、笑えるんだけど。
皮肉げにそう言うと、雨が降ってきた。
そして、彼の表情は泣き顔。
「うぇっぐ、……うぅ、……Aがっ……俺の心配をっ、……ひぇっ、」
『な、なに!?え!?こわっ!?』
「うれしくてぇっ!…………うっぐ、……うわぁぁぁんっ」
三千年も生きてる神がこうも単純なことで泣くとは……。
てか狩りがしたいだけなのに泣かれた。
……あぁもう!!
なんかこいつといると調子が狂う。
『じゃ、じゃあ狩りを……』
「あ、それはダメ」
『は?』
雨が止んだ。
しかし家の中には怒りの雷が落ちた。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年9月26日 13時) (レス) @page42 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
しろむ(プロフ) - 2ヶ月ほど占ツクを離れていたら、完結していてビックリです!うぐいすあんさんの作品大好きです。今回も素晴らしい小説ありがとうございます (2020年1月31日 21時) (レス) id: 3eaa2e0c73 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - すばるさん» 私もすばるさん好きです〜!そらるさんの可愛さを最大限引き出せましたかね!?こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» いつもありがとうございます!優勝できましたイエーイ()今回はほんわか系を書いていたのでどうしても過去編がシリアスになってしまいました……。はい!楽しみにしていてくださいね!ご満足できるような作品を作れるよう頑張ります! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - らfkー(らふきー)さん» ありがとうございまrrrrrrrrrrrrrrrrrrす!過去編はかなぁり凝っているので、泣いていただくほどのお話ができてとても光栄です! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餡 | 作成日時:2019年11月10日 22時