1.プロローグ ページ1
昔々、空の上には、一柱の空の神様がおりました。
神様が笑えば雲は消え、太陽は輝き、
神様が泣けば雲が現れ、雨を降らせ、
神様が怒れば雷がなり、風をおこす。
そう言われておりました。
そんな神様は、日々喜怒哀楽する人間に興味をもち、人界へと降り立ちました。
そこで見たのは、人びとが争いあい殺しあっている姿見。
神様は嘆きました。人間同士はなぜわかりあうことができないのか。
そんな神様の悲しみによって、人々が耐えきれないほどの大雨が起こりました。
強い雨により川は氾濫を起こし、人の住みかを飲み込んでいきます。
強い風は田畑を荒らし、人の住みかを壊していきます。
鳴り響く雷は人々の心と共に、たくさんのものを奪いました。
これを、“悲劇の大風雨”と言います。
.
千年に一度、それは訪れる。
そんな天候に困った人々は、争いをやめた。
しかし、この村ではそんな神を恐れ、生け贄をたてることにした。
神に慈悲をもらうため、村を救うため。
それに反対すれば神に逆らうこととなり、重い罰が下される。
また、生け贄の少女は村の人々が決めるという投票制だ。
皆は、私を選んだ。
「……お前にはこの村のために働いてもらおう」
そんなことこれっぽっちも思ってないくせに。
どうせ私が邪魔物だから生け贄にしたくせに。
『ふんっ、神頼みなんて馬鹿馬鹿しい』
まだ15の私は村の長にたいしてそう悪口をはく。
それに、近くの村人は反応した。
「なっ!お前ッ!……」
「よい。どう思われようと神はいるのだから」
そんな村人を村長は言葉をかける。
周りの蔑む瞳がちくちくと肌にささる。
あぁ、神なんているわけない。いるわけないんだ。
私は何も信じないし、何者にも縋らない。
独りで生きていく。
崖に立たされる。
ここから下は神様に続く海とされている。
生け贄はここに入り、神の元、天界へと向かうのだ。要するに死ぬ。
「A。お前は生け贄に選ばれた。最期の最期までその役目を全うせよ」
村長の言葉と共に、村人に背中を押される。
私は最期まで、村を恨んだ。
うるさい。私は生け贄なんかじゃない。
一人の、人間なんだ_____。
体が落ちていく。
そんな感触さえ感じられず、私は目をつむった。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年9月26日 13時) (レス) @page42 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
しろむ(プロフ) - 2ヶ月ほど占ツクを離れていたら、完結していてビックリです!うぐいすあんさんの作品大好きです。今回も素晴らしい小説ありがとうございます (2020年1月31日 21時) (レス) id: 3eaa2e0c73 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - すばるさん» 私もすばるさん好きです〜!そらるさんの可愛さを最大限引き出せましたかね!?こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» いつもありがとうございます!優勝できましたイエーイ()今回はほんわか系を書いていたのでどうしても過去編がシリアスになってしまいました……。はい!楽しみにしていてくださいね!ご満足できるような作品を作れるよう頑張ります! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - らfkー(らふきー)さん» ありがとうございまrrrrrrrrrrrrrrrrrrす!過去編はかなぁり凝っているので、泣いていただくほどのお話ができてとても光栄です! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餡 | 作成日時:2019年11月10日 22時